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『スマホの中身も「遺品」です』など注目の新書5選(朝日新聞2020年2月15日掲載)

『スマホの中身も「遺品」です』

 情報化やキャッシュレス決済が進む中、故人のスマホやパソコンなどの「デジタル遺品」にどう対応したらいいのか。SNS、ネット銀行の口座、「○○ペイ」の残高、サブスクリプションサービスなど、様々な「遺品」がある。相続術や遺(のこ)す側の終活術も提言。必要な思考力を鍛えることに焦点を当てた。
★古田雄介著 中公新書ラクレ・968円

『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか』

 フィンランドは2018、19年と連続で国連が発表している幸福度ランキングで世界1位。有給休暇消化率はほぼ100%、夏休みは1カ月、週に1度以上在宅勤務をしている人は3割。バランスがとれたフィンランド人の生活を紹介、学ぶべきヒントを示す。
★堀内都喜子著 ポプラ新書・946円

『大学はもう死んでいる?』

 英オックスフォード大(苅谷)と東大大学院(吉見)の教授が対談。大学改革や文系・理系の概念、組織体の相違など、根本的な認識を問い直す。世界の大学で深刻化しているメンタルヘルスの問題や、なぜ日本の学生が勉強しないのかなど、様々なテーマを議論する。
★苅谷剛彦・吉見俊哉著 集英社新書・990円

『アイロニーはなぜ伝わるのか?』

 アイロニーは皮肉や反語といった訳語には収まりきらない修辞的な表現だ。現代英語圏文学が専門の著者が、アイロニーの多様性や話し手の意図を分析。オースティンの『自負と偏見』の上品な英国風アイロニーなど、文学作品から例文を挙げ、面白さや可能性を探る。
★木原善彦著 光文社新書・858円

『興行師列伝』

 副題は「愛と裏切りの近代芸能史」。近代興行の父と言われる十二代目守田勘弥。兄の白井松次郎と共に松竹を築きあげた大谷竹次郎。吉本興業の創業者で、ドラマ化された吉本せい。大映の永田雅一。実業家の小林一三。芸能の世界の近代化に取り組んだ、5人の興行師たちの激動の人生を描く。
★笹山敬輔著 新潮新書・902円=朝日新聞2020年2月15日掲載