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『「駅の子」の闘い』など注目の新書5選(朝日新聞2020年3月7日掲載)

『「駅の子」の闘い』

 戦争の空襲や引き揚げで孤児となり、駅舎や駅の地下道などでその日暮らしをしていた「駅の子」。著者はNHKディレクターで、「駅の子」の壮絶な経験を伝えるNHKスペシャルをもとに書籍化。差別や周囲の無関心のもと、口を閉ざしてきた当事者たちが語り始めた証言をすくった。
中村光博著 幻冬舎新書・968円

『特攻隊員の現実(リアル)』

 戦局の巻き返しや、士気高揚を目指して行われた特攻。隊員は何を思って死地に赴き、送り出した国民はどう見ていたのか。陸海軍特攻の戦死者は推定3700人以上という集計もある。航空特攻に絞り、特攻とは何だったのかを日記や手紙、遺書、追悼録などから掘り起こす。
一ノ瀬俊也著 講談社現代新書・946円

『ぼくらの中の「トラウマ」』

 災害、事故、いじめやつらい経験など心の傷は「トラウマ」となる。トラウマ反応の一つが過去の出来事がリアルによみがえる「フラッシュバック」だ。心のメカニズムを知り、どう過去と関わり、苦しむ人と接すればよいか、精神科医が数々の事例から対処法を紹介。
青木省三著 ちくまプリマー新書・924円

『アクティブ・ラーニングとは何か』

 学び方改革の目玉「アクティブ・ラーニング」はどんな実践ができるのか。ディべートでは、リサーチ能力や演劇的表現力の育成を挙げる。「最後の晩餐(ばんさん)」に描かれた人物になってシーンをつくるなどの実践も紹介。自立的学習者から自律的市民の形成まで論じる。
渡部淳著 岩波新書・880円

『そろそろ親とお金の話をしてください』

 著者は7千件以上の相談を受けてきたファイナンシャルプランナー。自身も義父と父をみとり、義母と母の介護の最中だ。親が元気なうちにどんな準備ができるか。親子で書く「エンディングノート」や、成年後見制度などの活用法、相続トラブルの防ぎ方などを解説。
★安田まゆみ著 ポプラ新書・946円=朝日新聞2020年3月7日掲載