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「移民の経済学」など注目の新書5選(朝日新聞2020年3月21日掲載)

『移民の経済学』

 日本にいる「移民」が250万人という時代。外国人労働者の受け入れ拡大を目指して2018年に出入国管理法も改正された。「移民」は経済成長の救世主か、人手不足を解消し女性の活躍を促すのかなど、様々な角度から検証。雇用や物価、社会保障、治安、人々の信頼関係まで、広く網羅した。
友原章典著 中公新書・902円

『簡易生活のすすめ』

 明治から昭和初期にかけて「簡易生活」という考え方が小説や雑誌に登場した。西洋伝来の「シンプルライフ」を取り入れたものだ。「科学的に分析」「虚礼虚飾の廃止」「機能を中心に選択」など合理的なものだ。その実践や思想を当時の文献から紹介、現代の生活と重ねて考えた。
★山下泰平著 朝日新書・869円

『カラヴァッジョ《聖マタイの召命》』

 1600年にローマの教会で公開された表題の絵画には、テーブルに5人の男がいる。一条の光と共に入ってきたキリストが呼びかける絵の主人公のレビ(後の弟子のマタイ)がどの男か、今も論争が続く。宗教や歴史的背景、光の意味など、名画の謎を読み解く。
★宮下規久朗著 ちくまプリマー新書・1045円

『人生の1冊の絵本』

 絵本に凝縮された世界には、子どもの感性に訴えるいろいろな生き物たちとの出会いや、心のありようだけでなく、やがて経験する人生の不条理さ、限りある命の厳粛さが描かれている。看護専門誌「看護管理」(医学書院)の絵本をテーマにした連載をもとに、約150冊の絵本を紹介した。
★柳田邦男著 岩波新書・1078円

『21世紀落語史』

 2001年10月、名人・古今亭志ん朝が亡くなった。喪失感と危機意識から立川談志、春風亭小朝、春風亭昇太らが動く。ドラマ「タイガー&ドラゴン」や渋谷らくごの開催、二ツ目ユニット「成金(なりきん)」に至る「落語ブーム」は、すべて志ん朝の死から始まった、と高座を聞き続けてきた著者はいう。
★広瀬和生著 光文社新書・1100円=朝日新聞2020年3月21日掲載