1. HOME
  2. トピック
  3. おうちで本を読もう
  4. 売れ筋本に新型コロナの影 学習ドリル・植物図鑑が好調、旅行ガイド半減

売れ筋本に新型コロナの影 学習ドリル・植物図鑑が好調、旅行ガイド半減

 植物図鑑は好調、旅行ガイドは半減――。本の売れ行きに、新型コロナウイルスによる生活の変化が反映されたようだ。取次大手がまとめた3月の書店の売り上げに、ジャンルごとの明暗がくっきりと分かれた。

 トーハンがまとめた全国の約1500書店の売り上げデータによると、目立つのは学習参考書・辞典だ。昨年3月に比べて約3割増。特に、学年ごとに1年間の学習内容を振り返る復習用のドリルが伸びたという。休校によって、自宅学習用の購入とみられる。児童書も約1割増えた。

 休校だけでなく、外出自粛が求められ、自宅にこもる人が増えたことをうかがわせるデータも。パズル雑誌は前年同月比で2割の伸び。自炊が増えてレシピ本も人気だという。コミックスでは、3月に最新刊が発売された『キングダム』などで新刊だけでなくまとめ買いの傾向が出ているという。

 草花や野草などの図鑑、キャンプ場や自宅の庭で出来るアウトドア料理の本も好調だ。散歩や人混みを避けるレジャーに関心が集まっている影響とみられる。一方、地図・旅行ガイドは半分近く落ち込んだ。特に、感染が拡大したイタリアやスペインのガイド本は激減した。

 書店の立地や規模によっても客足に違いが出た。商店街や郊外、200坪以下の書店で売り上げが伸びた店が多いのに対し、ターミナル駅周辺やビジネス街の店、大型店は落ち込んだ。

 「巣ごもり」需要があった一方で、最終週の週末は東京都の小池百合子知事が外出自粛を呼びかけたこともあり、休業した書店も出ている。トーハンの広報担当者は「局所的には伸びているが、全体としては予断を許さない」としている。(滝沢文那)=朝日新聞2020年4月8日掲載