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小松政夫さん「みーんな ほんなごと!」インタビュー 変な奴がいてさぁ…ギャグ次々

小松政夫さん=伊ケ崎忍撮影

 情報誌の「月刊はかた」の連載をまとめた本です。博多出身ですから奮い立ちましたよ、最初はね。でも12年もやってると、書くことなくなっちゃって。もうしんどいなあと言うと、編集者が「こんなに反響があるんですよ」と読者の声を送ってくるんです、ぐすん。

 何書いてもいいというので、最初は博多の話で終始しようと思ったんですよ。子どものころ、ばかなやつがいたとか。でもコメディアンを目指して上京して、クレージーキャッツの植木等の付き人から芸能界に入ったことは大事なことだから書きました。今日インタビューに来る前に偶然、植木からもらった手紙を見つけましてね。40年ぶりに共演できて、うれしくてしかたなかったよ、と書いてあった。今、昔みたいな師弟関係ってないでしょ。

 「小松の親分」だって30歳前後の時分の流行(はや)りだったのにいまだに親分って呼ばれるから、相当強力だったんだな。「電線音頭」をみんなで踊ったとかね。流行ったギャグを数えてもらったら80ほどあった。今の人たちは、一つできたら、あきられるまでやっておしまいになるけど、あたしゃポンポン捨てて次、とやってきたんですよ。

 人間観察からギャグが生まれた話も書きました。伊東四朗さんが「小松はいつも重箱の隅をほじくっている」と言ってた。昨日さぁ、変な奴(やつ)がいてさぁっていう話が好きなんです。

 私のコメディーは、大汗かいて駆けまわって、最後に泣かせる。身体が動く限りエキセントリックでいたい。昔タモリと開発した「製材所」っていう芸はね、電動のこぎりで材木をどんどん切って、最後は文化人を切ろうとか言ってね、ははは。去年2千人の劇場で1人でやって大拍手でした。(聞き手・久田貴志子 写真・伊ケ崎忍)=朝日新聞2020年4月15日掲載

小松政夫さんのサイン