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高畑充希さん「穴があったら入ります」インタビュー しょうもない日常、可笑しくて

高畑充希さん©五十嵐隆裕

 変なタイトルですよね。エッセイって自分の恥ずかしい内面にからむ言葉が意外に多くあったから。ちょっとへんてこりんな名前にしたいと提案したら、一つ目で通っちゃいました。

 おしゃれなカフェでサラダをヤギのようにむしゃむしゃ一人で食べていたり、そんな普段の私のしょうもないことを書き留めています。リアルな自分ではありますが、じゃあ120%開けっぴろげかと言われるとそうじゃなくて。役として登場する姿よりは素だけど、家族や親友に見せるよりは遠い。普段みなさんがどんな印象を私に持ってくださっているのかわからないのですが、適当でずぼらな私を身近に感じてもらえたら。

 書き始めてからは、楽屋の中の出来事から家で着ているパジャマの柄まで、気にも留めなかった日常を可笑(おか)しく感じるようになりました。祖母が亡くなったときの話も出てきますが、文章自体は重くなりたくないな、と思って書きました。大阪出身っていうのもあると思います。

 時々インスタグラムも投稿しますが、そちらはたくさんの人が見てくださるので、どんな立場の人も傷つけないような言葉を意識するようにしています。でも、エッセイは読みたい人だけが読む。多少下ネタとかあってもいいかな、なんて。でも、エッセイを書くのは本当に難しかったです。私自身、エッセイ本はサラサラと読みますが、いざ自分が書くとなると、軽い文章もなかなか進まなくて。

 本にするというゴールがあったから何とか書けましたが、今は続編は考えられないです。これからは「奇跡の人」と「ミス・サイゴン」の舞台が続きます。昨年はゆっくりしたので、今年はしっかり働くぞ! という気持ちです。(聞き手・森本未紀)=朝日新聞2022年3月16日掲載

高畑充希さんのサイン