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「ドリーム・ハラスメント」など注目の新書5選(朝日新聞2020年7月18日掲載)

『ドリーム・ハラスメント』

 「夢を持て」と大人に迫られ、苦痛に感じる若者が後を絶たないという。それを「ドリーム・ハラスメント」と著者は呼び、進学・就職を前にした若者が「夢」に悩まされる実態を明らかにする。夢を持つ生き方と持たない生き方が共存共栄できる多様性ある社会の構築を訴える。
★高部大問著 イースト新書・946円

『万葉集の起源』

 古来、恋をしたり愛する人を失ったりするとその心を俳句や短歌に詠んできた日本人。最古の歌集『万葉集』から受け継がれてきたその心性は、どこに起源を持つのか。中国の雲南少数民族に今でも残る歌垣文化を手がかりに、日本人の抒情(じょじょう)表現の原型を明らかにしていく。
★遠藤耕太郎著 中公新書・990円

『吉本興業史』

 「闇営業問題」は連日テレビを騒がせた。100年超の歩みの中で、吉本はいかに成長し、反社会勢力とはどのような関わりがあったのか。芸人との関係はどう変化したのか。35年にわたり広報や社史編纂(へんさん)などを担当した著者が、芸人や経営者とのエピソードや内側から見た組織を語る。
★竹中功著 角川新書・990円

『断薬記』

 うつ病と診断され、大量の向精神薬や睡眠薬を飲んでいた大宅賞作家は、何年も薬に依存する生活に疑念を抱き、一念発起して減薬に挑む。信頼できる医師と出会い、激しい離脱症状に苦しみながらも、8年ぶりに薬なしで眠れるようになるまでの格闘の記録。現代医療の問題点も浮かび上がる。
★上原善広著 新潮新書・792円

『すごいぜ!菌類』

 地球上には150万種もの菌類がいるとされる。カビ、キノコ、酵母など身近な菌類から、高温や低温など極端に過酷な環境で生き抜く「バイタリティーにあふれている」菌類までを紹介。人間との深い関わりを持つその歴史などから菌類の多様な世界を解き明かしていく。
★星野保著 ちくまプリマー新書・880円=朝日新聞2020年7月18日掲載