「ほんとうのリーダーのみつけかた」書評 批判精神を持ち続けるための鍵
評者: 宇野重規
/ 朝⽇新聞掲載:2020年10月03日
ほんとうのリーダーのみつけかた
著者:梨木香歩
出版社:岩波書店
ジャンル:人生訓・人間関係・恋愛
ISBN: 9784000614153
発売⽇: 2020/07/14
サイズ: 19cm/70p
ほんとうのリーダーのみつけかた [著]梨木香歩
「今は非常の時だ、大勢に従うしかない」という同調圧力にどう対抗できるか。言葉をしっかりと考えず、「何となくそういうものだ」という思考停止にいかに陥らずに済むか。自分を大切にしながら、批判精神をしっかり持ち続けるための鍵が本書にある。
大切なのは「ほんとうのリーダー」と「チーム・自分」。リーダーに求められるのは「毅然(きぜん)として、穏やかであること」だが、著者は意外にも、そのようなリーダーを自分の中に持てという。自分の内なるリーダーは、誰よりも自分を理解し、優しく、それでも「それ以上はやるな」と言ってくれる。その声に耳を傾けることで、人は強くなれる。
自分も実はチームなのかもしれない。迷ったり、悩んだり、弱気になったり、いろんな自分がいるけれど、それでいい。そういう自分を認め、肯定し、一緒に耐えてくれる「ほんとうのリーダー」を自分の中に探したい。困難な時代に勇気を与えてくれる本だ。