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三浦しをん「マナーはいらない 小説の書きかた講座」 創作のコツ、自分をネタに伝授

 どんなジャンルでもプロが伝授するコツや技は知りたくなるもの。三浦しをんさんの『マナーはいらない 小説の書きかた講座』は、小説家志望でなくても引き込まれるエッセーだ。コバルト短編小説新人賞の選考にあたってきた三浦さんが、応募する人たちの参考になればと、ウェブで連載していた「小説を書くためのプチアドバイス」をもとに書籍化した。

 タイトルには「細かい作法とか気にしなくてオッケーだぜ」という思いを込めたという。その上でエンタメ小説のコツや型を伝授。「おこがましいにもほどがあるぜ」といいつつ、自分自身にツッコミを入れながら話を進める。

 比喩についての章では、十数年前の自作での「連発」に「顔面から火を噴きました」。取材方法に関する章では『風が強く吹いている』を例に、箱根駅伝の関係者を自分でどう探してどう取材したかを明かし、手書きの構想メモまで公開。読者からの「小説を百枚も書けるようになるのか、不安です」という悩み相談にも回答するぜいたくな一冊です。(加来由子)=朝日新聞2020年12月19日掲載