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ぽっちゃり女子のおしゃれ雑誌「ラ・ファーファ」 ぽっちゃり=自分らしさ、応援

「ラ・ファーファ」表紙

 この連載で女性誌を取り上げるのは、なんとなくためらっていた。五十代のおっさんの感性では理解できるはずがないと思ったからだ。実際どれも同じに見えてしまう。それでもひとつぐらいはと探していたら「日本で唯一のサイズL~10Lのファッション誌 ぽっちゃり女子のおしゃれバイブル〔ラ・ファーファ〕」が面白いと教えてもらった。

 最近は大きいサイズでおしゃれなファッションを売る店も目に付くようになったが、それでもぽっちゃり女子にとっては服を選ぶのに十分なラインアップではないだろう。選択肢が少なければオシャレもできない。そう考えると、この雑誌に救われる女子は多そう。

 ただでさえ若者は、服を買うときは肥大した自意識とそれに伴う劣等感で押しつぶされそうになっているものだから、ぽっちゃり体形だと店に入るのも結構な勇気がいるのかもしれない。本誌の連載でも作家の能町みね子さんがそのような暗黙のハードルについて書いている。ぽっちゃり体形に限らずアカ抜けない(と自認する)若者は、みな店の前で玉砕するのだ。もちろん今どきはネットにたくさんの情報が載っているから選択肢に困ることはないだろうけど、オシャレ雑誌の一角にぽっちゃり女子の居場所があるだけでも読者は勇気付けられるにちがいない。

 読んでみると、ぽっちゃりであるという点以外はいたってふつうの女性誌に思えた。ひとまずは他の女性誌と同等であることを意図しているのかも。バックナンバーにも「自分らしさ」という言葉が踊り、今流行(はや)りの言葉ではあるが、ここでは読者を鼓舞しようという意図がはっきりと感じられる。

 驚いたのは最新号の裏表紙に、モデルの結婚報告写真がどーんと掲載されていたことだ。裏表紙といえば一般には広告が入るところで、しかも広告料の高い稼げるページである。そこをあえて広告ではなく純粋に裏の表紙として使用して、大々的に寿(ことほ)がれる結婚。これは編集部から読者への強い応援メッセージと理解した。

 私が面白く読んだ記事は、135キロの最重量モデルによる連載「ミケぽちゃの壁」。超小型自動車に試乗してみたり、健康グッズを試してみたり。自分は体形的に無理かなとしり込みする読者に新しい世界の扉を開かせようという企画である。健康グッズのスペック紹介では、商品の耐荷重がクローズアップされてあり、150キロまで大丈夫なラインアップになっている。

 ダイエットを強いる記事はどこにも見当たらない。あれは呪いだから当然だろう。=朝日新聞2021年2月3日掲載

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