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性別に基づく思い込み発言よ、なくなれ!「#駄言辞典」

 心を打つ名言があれば心をくじく言葉もある。日経新聞と日経BPは、性別に基づくステレオタイプな言葉を「駄言(だ・げん)」と名付け、なくしたい駄言を募り一冊の辞典にした。

 寄せられた駄言の数々からは、女性社員に「お茶くみ」や、取引先との会食の際の「華」としての役割を求める企業がいまだに存在していることがわかる。「女の子いたら先方も喜ぶから」といった駄言をかけられる度にやる気を失い転職への意向を固める社員がいる。性別に基づく役割分業意識を変えられないようでは企業の存続も危うい。

 では、「育児が大変なら、他の部署に異動させてあげようか?」という上司の言葉はどうだろう。一見部下を気遣った親切な言葉のようにも思える。しかし、今の仕事を続けたい部下からは、現部署では育児との両立は困難と決めつけ働きやすい環境づくりを放棄する言葉にも聞こえる。

 本書には評者の私が言ってしまった駄言も載っている。私は自分の駄言がどのように人を傷つけたのかを知り、本書を同じ過ちを繰り返さないために反省する機会とさせていただいた。自分は駄言を言わないという自信がある人こそ、ぜひ「駄言辞典」をめくってみてほしい。=朝日新聞2021年7月17日掲載