1. HOME
  2. コラム
  3. 大好きだった
  4. こがらし輪音さんの創作のきっかけになったロックバンド「UVERworld」

こがらし輪音さんの創作のきっかけになったロックバンド「UVERworld」

アルバム『ALL TIME BEST』

 音楽は私の人生にとって欠かせないものです。狭いベッドにゴツいラジカセを持ち込んで夜な夜な就寝前にお気に入りの曲を流しましたし、携帯音楽プレーヤーを譲り受けてからは外出する際に必ず身に付けていました。今でも外出時にはイヤホンとスマホが欠かせません。

 ジャンルに拘泥せずどんな音楽でも楽しむ性分なのですが、特に強い影響を受けたアーティストは「UVERworld」です。子供の頃から格好いいアニメソングが好きで、ウーバーに出会ったのもアニソンがきっかけでした。最初に聴いた曲は「D-tecnoLife」です。言わずと知れた有名死神漫画のアニメ主題歌ですね。もちろんそれ以前にも好きな音楽はいくつもあったんですが、アーティスト単位でのめり込むようになったのもウーバーがきっかけでした。

 それまでの私は基本的にメロディラインで好きな曲を決めていて、歌詞はさほど重視していなかったのですが、ウーバーの歌詞は彼らの生き様や矜持がこれでもかと溢れ出ていて、それが当時の私にとって衝撃的でした。楽譜も満足に読めない私が「音楽が世界を変える」と言っても安っぽく聞こえるかもしれませんが、彼らの音楽に関してはエンターテイメントという枠を越えて聴いた人の人生をきっと変えているし、命を救ってすらいると思います。保険が適用されるようになっても私は驚きませんよ。

 私の人生は彼らの音楽と共にあったと言っても過言ではなく、「CHANCE!」と「ゼロの答」を聴いていなければ創作を始めようと思わなかったでしょうし、「REVERSI」と「LIFE」を聴いていなければ受賞して作家になる現在は無かったかもしれません。それくらい自分にとって大きな存在ですし、曲を聴くと当時の自分の精神状態が昨日のことのように思い出されます。その意味で一番強烈なのは、小説賞の電話待ちで胃が痛い日々に聴いていた「ALL ALONE」です。あの頃が人生で一番つらかった。

 昔も今も甲乙付け難い名曲揃いなのですが、強いてマイベストを挙げるなら「IMPACT」です。音楽と歌詞の力強さにはへこたれそうな時に何度も救われましたし、公式のPVも物凄く格好いいんですよね。YouTubeの「UVERworld」公式チャンネルが動画を上げているので是非一度聴いてみてください。

 デビュー当初から現在に至るまでアニメとのタイアップに積極的なのも推しポイントです。音楽と映像が合体すると双方に新しい印象が生まれますし、作品に適合した素敵な主題歌はアニメの魅力を数倍底上げしてくれます。自著がウーバー主題歌でアニメ化したらもう何も思い残すことはありませんね。そんな妄想とも既に20年近い付き合いになってしまったわけですが。

 「UVERworld」を聴き漁っていた小僧が、畑違いとはいえ創作者の端くれとなり、気付けばデビュー時の彼らの年齢を追い越してしまいました。一生かけても彼らには追い付ける気がしませんが、せめて影響を受けた者として恥ずかしくない創作を続けていきたいですね。何が最後の作品になっても、言い訳や心残りを作らないように。