ISBN: 9784835646329
発売⽇: 2021/09/10
サイズ: 19cm/255p
「さよたんていの おなやみ相談室」 [著]さよたんてい
きっかけは、探偵になりたい女の子が立ち上げた探偵社。はじめは家族から依頼を募集していたが、それだけじゃ物足りなくなって、周囲の大人を巻き込み、インスタグラムに進出。遂(つい)には書籍になってしまった。インスタを見に行ったら「こんにちは!さよふしぎたんていしゃです!11歳のたんていがあなたの悩みを解決します」と書いてあった。なんてかわいいんだ。私も何か相談したい。
見開き2ページを使って、右に依頼内容、左に調査報告が載っている。報告書は手書きだ。鉛筆で書かれた筆圧強めの字が、ザ・小学生!という感じでたまらない。依頼主の多くは、彼女よりずっと年上の大人たち。お悩みの内容にも、大人のほろ苦さが滲(にじ)んでいる。
「姑(しゅうとめ)が毎晩お酒を飲んでへべれけになります。絡んできてウザいです。どう対応したらいいでしょうか? 関係を悪くしたくはないです」というお悩みには「おすもうごっこといってなげとばしましょう」とある。姑を本当に投げ飛ばしたらきっと大変なことになる。でも、想像することで、悩みがふっと軽くなりそうだ。
「彼氏の人生がギャンブルです。どうしたらいいですか?」というお悩みには「かちつづけられるようにいつもおいのりしてあげましょう」というまさかの回答が(笑)。ギャンブル=悪=やめさせるべき、という大人的思考を脱臼させられるのが、実に心地よい。
掃除の仕事を10年以上やっているのに掃除が嫌いな依頼主にかけた言葉には、思わずはっとさせられた。「10年もやってるからすきとかきらいとかかんけいなくそうじできると思います。きたないせかいをきれいにしてくれてありがとうございます」……仕事ができている時点でオールオッケー。自分に花丸をあげていいのだ。ひょっとして、子どもの方がこの世の真理を分かってる!? 悩み多き現代人たちは、さよたんていの言葉をいっぱい浴びて、心を元気にした方がいい。
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2019年に当時小学3年だった著者が「たんていしゃ」を設立。まずは母親から相談を募って回答していた。