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ジョナサン・アドルフ「段ボールで作る!動く、飛ぶ、遊ぶ工作」 謎に迫る思考養う

「ロボットハンド」をあしらった表紙

 検索もできるし、メールも読めるし、動画もゲームも、タッチするだけで楽しめるスマホ。でも何でそんなことができるのか、見ていただけでは全然分からない。

 その点、この本に登場する工作たちは、ロボットハンドでも、風力トラクターでも、潜望鏡でも、どう力が伝わってどう動くか、光がどう伝わるか、が一目瞭然。段ボールや空き箱など手に入れやすい素材を使い、デザインもなかなかキュートだ。作り方の図解や、出来上がった姿を見るだけでも楽しい。

 でも単なる「楽しい工作図鑑」ではない。副題で「エンジニアリング」をうたうように、試行錯誤の重要性を説き、てこの原理や生物模倣、位置エネルギー、揚力や遠心力などについても解説。エジソンや宮本茂といった先達たちも紹介されている。

 この本を読んでももちろん、ガラス面の付いた薄い板の秘密は分からない。でも、謎に迫る思考の第一歩がここにあるに違いない。=朝日新聞2021年11月20日掲載