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引き込まれる「エビはすごい カニもすごい」など注目の新書5選

「エビはすごい カニもすごい」

 食卓の人気者たちの体のしくみや行動を研究者が解説する。エビには成長途中で性転換する種がある。カニは前にも歩く。水槽の水草をハサミで切ったモクズガニに、餌をもらえなかった「腹いせ」を見るなど、彼らの感情や知能の高さを力説する愛情こもった筆致に引き込まれる。
★矢野勲著 中公新書・990円

「火星の歩き方」

 火星探査が歴史的な盛り上がりを見せる中、少し気の早い火星旅行のガイドブックが登場した。見どころは、標高2万メートルの山や、海のように波打つ形状の砂丘など、45億年手つかずだったその自然。「気球でまわる火星一周」と題して、専門家らが地形や歴史を解説する。
★臼井寛裕、野口里奈、庄司大悟著 光文社新書・1078円

「焼酎の科学」

 薩摩の芋焼酎、沖縄の泡盛、壱岐の麦焼酎、球磨の米焼酎……。土地によって多様な個性を持つ焼酎が、歴史上どのように姿を現し、どのような工程で造られ、何がその風味を左右するのかを、焼酎研究者の著者が基礎から丁寧かつ詳細に解説する。
★鮫島吉廣、高峯和則著 講談社ブルーバックス・1100円

「はじめて学ぶ環境倫理」

 マイボトルやエコバッグを使い、電気を節約する、こうした個人のエコな暮らしは実際に地球温暖化や自然破壊を抑制しているのだろうか。環境倫理の観点から、社会全体や未来まで視野を広げて、環境問題を解決するためのしくみづくりについて考える。
★吉永明弘著 ちくまプリマー新書・902円

「いつもの言葉を哲学する」

 「まん延」という間の抜けた印象の表記がなぜ広まるのか、「○○感」という言葉がぼやかすもの、「丸い」や「四角い」に倣って幼児が「三角い」という時の誤用に宿る自由ときらめき……。思考停止を誘う「お約束表現」や責任を回避する言い回しなどについて哲学者が考察する。
★古田徹也著 朝日新書・935円=朝日新聞2022年2月5日掲載