大谷翔平選手や大坂なおみ選手など、さまざまな分野で活躍する著名人が強く影響を受けた講談社の書籍や雑誌、コミックを紹介する「World meets KODANSHA」キャンペーン。講談社が2022年2月に始めた企画で、第2弾として、講談師の神田伯山さん、ショパン国際ピアノコンクールで日本人歴代最高位を勝ち取った新進気鋭のピアニスト反田恭平さんといったメンバーが加わった。(文・写真:五月女菜穂)
大谷選手が『ダイヤのA』の登場人物と対決するなら
第1弾は大谷選手や大坂選手、北野武さんらが登場。4月18日から始まる第2弾では、伯山さん、反田さん、サッカー日本代表の南野拓実さん、生物学者の福岡伸一さん、乃木坂46の齋藤飛鳥さんという各界で活躍する5人に加え、作家29人の参加も発表された。
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大谷翔平選手は、寺嶋裕二『ダイヤのA』を挙げる。「高校時代の野球へ対する熱い気持ちを思い出させてくれる漫画」なのだそう。
ちなみに、大谷選手なら漫画の中の登場人物たちをどう抑えるかという問いには、「きっとプロの球でも軽く打っちゃうような打者ばかりだから、誰も抑えられないんじゃ」と答えつつ、「でも戦えるとしたら楽しみですね。具体的な配球までは分からないですけど、どんな相手だろうと自分の最善を尽くせば抑えられる。そう思って挑みます」。
大坂なおみ選手は、なかよしKC『アンライバルドNAOMI天下一』。本作は、大坂選手の姉・まりさんと自身が共同して生まれた作品で「私たちは子どもの頃から、たくさんの漫画を読んで育ってきて、いつか二人で漫画を作ってみたいと話していました。それが『なかよし』での連載漫画となり、たくさんの少女たちに読んでもらえて、単行本が出たことも喜びでした」。
北野武さんは、村山斉『宇宙になぜ我々が存在するのか』を挙げ、コスプレイヤーのえなこさんは、辻村深月の『冷たい校舎の時は止まる』に影響を受けたという。
神田伯山さんが選んだのはあの名作
第2弾に登場した神田伯山さんは、吉川英治『宮本武蔵』を選んだ。学生時代に講談師の勉強として本作を読んだといい、「武蔵を恨んでいたお杉ばばが、物語の終盤に改心するところが納得いかない感じなんです。でもそこらへんが講談の展開と似ていて、急に善人になる感じが良いです」とコメント。そして「うちの祖母も人の悪口ばかり言っている人でしたが、死ぬ間際に善人のような口ぶりでみんなに感謝の言葉を口にしていて、少し重なるところがあります。私の口が悪い芸風も、婆さんの隔世遺伝です」。
同じく第2弾から加わった齋藤飛鳥さんは『大江健三郎全小説』第1巻を挙げた。本好きのスタッフに薦められたことをきっかけに、大江健三郎の本を読み始めたという齋藤さんに、本作のどのような点に影響を受けたのか尋ねると、「他人との接し方。成長とは、それに伴いいくつかのものを喪失するということ。これらを知りました」。
齋藤さんは「文章を読むことも書くこともたまたま好きだっただけで、人間関係を築く難しさにつまずいた時に救いを求めたのがたまたま本だっただけの私ですが、読書家と呼んでくれる人もいます。そう言われるともうちょっと頑張って読まなきゃいけないかな、とか思って寝る時間を惜しんでまで本を読んでいた時期がありました。皆さんはそんなふうに構えず、読みたい時に読みたい本を読んでくださいね」。
全国の紀伊國屋書店でブックフェアも開催
紀伊國屋書店と講談社が連動し、このキャンペーンで紹介された本を集めた「人生を変えた一冊フェア」が4月18日(月)から始まった。新宿本店をはじめとした全国67店舗にて特設コーナーが5月17日(火)まで設置される。※特設サイト
紀伊國屋書店新宿本店の吉野裕司・副店長は、フェアの開催にあたり「各界の著名人に『人生を変える一冊』との出会いがあったこと、これは本に携わる者として、とてもうれしいことであり、励みともなります。フェアを見に、普段あまり本を読まない方にも書店へ足を運んでいただきたいですね」と話し、「フェアがゴールではなく、“自分の一冊”を探すためのきっかけになってほしいと願っています」と呼びかける。
新宿本店では、リニューアルオープンしたばかりの「BOOK SALON」(2階)でフェアの本を紹介している。吉野副店長は「書店で本を買う/売る理由は、思ってもみなかった本との出会いがあることに尽きると思います。陳列によってその手助けをできることが、書店で働くことの最大の喜びです」。
その一冊が、あなたの“人生を変える”かもしれない。ぜひ書店に足を運んでみよう。