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映画「チェリまほ」で萌え語り! “BLことはじめ”にもおすすめの優しい世界

©豊田悠/SQUARE ENIX・「チェリまほ THE MOVIE」製作委員会

幸せの輪が広がる、優しい世界

岩本:原さんはもともと原作マンガを読まれていたんですよね。

:はい。実はドラマ版は全部は見ていなくて……。

岩本:私は気がついたら友人がドラマにハマっていて、彼女のお導きでドラマをイッキ見してマンガも読みました。基本的にドラマも映画も原作リスペクトで作られていて、映画はドラマのその後、安達に長崎転勤の話が来てからのお話が描かれています。遠距離恋愛って、お互いの本気度や信じる気持ちが試される感じですよね。

:8カ月間の遠距離恋愛になって、さびしさを乗り越えた安達の成長がすごいなと思いました。「魔法がなくても伝えられる、自分の気持ちを自分の言葉で」、その言葉どおり、劇中をとおして自分の気持ちをしっかりまっすぐに言葉や行動に表すようになっていくのが印象的でしたね。長崎に転勤になった安達のもとへ駆けつけた黒沢に、安達が正直な気持ちを伝えるところが特に良かったです。より心を通わせた2人の距離が近づいて手を恋人つなぎしたところで血圧上がりましたね(笑)。

岩本:わかります! 映像だと2人の距離が縮まっていくのを体感できるのがいいですよね。映画の中で原さんにとっていちばんの萌えポイントはどこでした?

原さん:会社では仕事もできて人気者の黒沢が安達と一緒の時だけ見せる一面のギャップにグッときました! 特に朝に弱い黒沢が、食事の用意をする安達に後ろから抱きついて眠そうにしているシーンはかわいらしさ満載でしたね。

岩本:あのバックハグはいいですよねぇ。ギャップ萌え、バンザイ!

©豊田悠/SQUARE ENIX・「チェリまほ THE MOVIE」製作委員会

:他にも同居を始めた2人が恋人同士だけの時間で見せる表情ややり取りは常に甘々で、だいたいニヤニヤしながら見ていた気がします。実写になることで部屋の生活感とかがより視覚的に伝わってきやすいところも眺めている側として嬉しいポイントですよね!

岩本:そうですね。そもそもメインの2人がハマり役すぎて、映画を見て改めて奇跡的なキャスティングだなと思いました。あと、生身の人間が演じる効果なのか、脇役キャラたちもよりいっそう輝いて見える気がします。

:ですね。脇役キャラのセリフも刺さるものが多かったです。2人の同僚・藤崎がふと語った「自分が納得のいく生き方ができたら、それはきっと、幸せだよね」っていう言葉が心に残っています。

岩本:そのセリフ、ハッとしますよね。つい忘れがちですけど、「幸せ」って主観なんだってことを思い出させてくれて。BLで恋愛がメインではあるんだけど、こういう「幸せ」とか「家族」とか、生きていくなかで誰もが一度は考えたことがあるような普遍的なテーマにも触れてくるから、急に別の意味でもドキっとさせられます。

:そういう意味では、安達と黒沢、それぞれの両親に挨拶に行く場面は、俳優さんの演技力も相まって、よりドキドキでした。脇役キャラのセリフも良いと言いましたが、中でも黒沢の母の言葉にはグッときましたね。息子たちの未来を心配しているからこそ、最初は不穏な空気が漂っていたのが、安達と出会ったことによる黒沢の変化や、黒沢の真摯な言葉に動かされていく姿に、もし自分の母だったとしても同じかも……なんてなぜか重ねてしまい、「家族に手土産は必要ないでしょう」というセリフは涙腺に来ました。

岩本:ドラマから入った身としては、原作はマンガというのもあってか、よりコミカルな描写がたくさんある印象で、笑い多めで楽しめました。原さんは原作を読んでから映画を見てどうでした?

:原作と違う点でいいなと思ったのは、原作よりも関係が進展している柘植&湊カップルのその先も見れたところです! 安達と黒沢の家に遊びにいって、自分の気持ちにより向き合えた2人。黒沢と安達の幸せが、周りにもどんどん広がっていくのが見られて嬉しかったですね。

岩本:ほんと嫌な奴がいない、やさしい世界ですよね。幸せが広がっていくのを見て、見ているこちら側も幸せな気持ちになれる。一方で、映画のラストシーンは現社会で2人がともに生きていくのは難しいことでもあることを暗示していて、考えさせられました。

:そうですね。でも、とにかく2人には幸せになってほしいです……!

「チェリまほ」の次に読むならコレ!

 ドラマ&映画「チェリまほ」でBLにハマりそう、もしくはすでにハマった!……という方へ。原さんが「チェリまほ」の次に読むべきおすすめBL3作をセレクトしてくれました。

はらだ「ワンルームエンジェル」(祥伝社)

 「人生、クソ」という幸紀。記憶を失くした奇妙な天使と同居生活を送ることに!? ふてぶてしい天使と強面男の軽快な会話が面白いけど、幸紀の抱える葛藤や天使の正体、読めば読むほど苦しくて愛おしい話に引き込まれます。ラストは思わず涙腺がゆるみ……そして描き下ろしを読んで、良かったね……良かったね!!と思わずにはいれられません。何度でも読み返したい1冊。

PEYO「ボーイミーツマリア」(プランタン出版)

 河が出会ったのは演劇部の高嶺の花、マリアこと有馬優。猪突猛進&考えるアホな広沢と、心を抉るようなトラウマを抱える有馬。真逆の2人が演劇を通して前に向かって進んでいく青春ストーリーが胸を打ちまくり! 「僕もお前も、スポットライトを浴びちゃいけない理由はないよな」――。自分に自信をなくしそうな時、勇気をもらえる作品です。

宮田トヲル「彼のいる生活」(リブレ)

 大学生になって晴れて一人暮らしを満喫!のはずだった涼の計画は、幼馴染の一仁との同居で儚く消えるのであった……。スーパー優良物件なのに彼女にすぐにフラれてしまう一仁の欠陥探しをするはずが、一仁の一途な気持ちを察してからどんどん意識しちゃっていく涼。さりげないやり取りや2人の表情に、読んでる方も照れちゃうくらいキュンが止まらないさわやかな作品です!