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歴史小説家・今村翔吾と山崎怜奈のラジオ番組「言って聞かせて」がスタート

 今村さんは、2017年の作家デビュー以来、『八本目の槍』(吉川英治文学新人賞)、『じんかん』(山田風太郎賞)など次々と話題作を、今年2月に『塞王の楯』で第166回直木賞を受賞した、勢いに乗る作家です。朝日新聞朝刊では、南北朝時代の武将・楠木正成の長男正行を主人公にした「人よ、花よ、」を連載しています。

 そんな今村さんにとって、初のラジオ番組レギュラー、そして冠番組。自身の作家としての人生や、好きなことを語るのはもちろん、豪華ゲストとの対談やリスナー参加コーナーなど、楽しい企画が盛りだくさんの30分番組です。パートナーは、歴史に関する著作があり、TOKYO FMの「山崎怜奈の誰かに話したかったこと。」を担当するなどラジオパーソナリティーとしても活躍する山崎怜奈さん。2人しか語れない歴史の話や本の話が聴けそうです。

 なお、番組名の「言って聞かせて」は、江戸時代中期の大名で米沢藩第9代藩主の上杉鷹山の言葉「してみせて 言って聞かせて させてみる」から引用したもの。この言葉は後に連合艦隊司令長官・山本五十六に影響を与えた言葉として知られています。

 9月22日には同番組の初収録が行われ、その様子が報道陣に公開されました。「直木賞受賞の記者会見よりも緊張してるかも」と話していた今村さんですが、ラジオパーソナリティとしては“先輩”にあたる山崎さんの的確で落ち着きのあるアシストもあって、だんだんとリラックスしていった様子でした。

 1回目の放送は、お互いのプロフィールについての話題が中心に。今村さんは、作家としてデビューする以前に、ダンスインストラクターや埋蔵文化財調査員などを経験したことを振り返ります。さらに、現在は職業作家と並行しながら大阪府箕面市にある書店を事業継承し「きのしたブックセンター」のオーナーでもあることなどにも話題が広がりました。山崎さんは、勉強漬けだった中学生時代から、乃木坂46に入ったきっかけなどを語っています。

 収録後に行われた記者会見。収録の感想を問われると、今村さんは「お世辞抜きで山崎さんがうまいこと導いてくださった。どんどん楽しくなっていきました。(ラジオの経験は)執筆にも何かプラスにつながるのではないかなと思います」と笑顔を見せました。

 山崎さんはメディアに出演する今村さんを見て「明るくて気さく」という印象を持ちつつ、「初めてお会いするので、どんな方だろうとドキドキしていました」。実際には緊張もせずに安心して話せたといいます。「私が勉強しなくてはいけないことや、歴史の知識や出版業界のことなど聞きたい話が山ほどあるので、これからが楽しみです」と語ってくれました。

 ラジオというメディアの魅力についても質問が及びました。「ラジオはリスナーの想像力と協力してつくっていく良さがあると思います。僕たちだけの発信ではなく、双方の協力でどんどん面白くなっていくメディア」と今村さん。一方、山崎さんは「その時その時間だけその人が喋っていることを聞けるかどうかは一期一会」と語り、「それは書店での本との出会いと同じ」とも。「ラジオを通じて新たな知識の発見や音楽との出会いがある。フラッと寄り添える居場所でもありながら、一期一会の出会いがあるところがラジオの魅力かな」。

 本と歴史を愛する2人の組み合わせで、リスナーにも新たな出会いや発見がありそうです。今村さんは「本当に構えずに聞いてもらいたいな。歴史小説家ということで僕の読者は年配が多いので、このラジオを通して、若い方にも本の魅力や歴史の魅力を知ってもらえたら嬉しい」と話していました。学生の頃、歴史好きであることを友人となかなか共有できずに悩んでいたという山崎さんは「歴史とか本とか堅く見えるけど、実は好きなんだよねというリスナーさんにとっての語り場になったらいいなと思います」。