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「聞く技術 聞いてもらう技術」つながりを生む13の技術を紹介 藤田結子が選ぶ新書2点

『聞く技術 聞いてもらう技術』

 コロナ禍で会って話す機会が減った。分断が際立つSNSは対話が成り立たない。家族がいても言葉が届いていると感じられない。孤立が社会問題となる今、東畑開人『聞く技術 聞いてもらう技術』(ちくま新書・946円)が多くの人に読まれている。

 臨床心理士の著者によると、新自由主義が社会をバラバラにし個人に負荷がかかりすぎている。その一方で、心の健康にはつながりが不可欠だというシンプルな現実がある。あなたが話を聞けないのは、話を聞いてもらっていないからなのだ。聞いてもらうためには「隣の席に座ろう」「単純作業を一緒にしよう」など13の技術が役立つ。社会が敵だらけの場所にみえても、聞いてもらうことを恐れなくなると心は回復するという。率直でユーモアに富む語り口調の本書から、誰かと対話したような読後感を得て、希望が見えてくるかもしれない。
★東畑開人著 ちくま新書・946円

『男性中心企業の終焉(しゅうえん)』

 浜田敬子『男性中心企業の終焉(しゅうえん)』(文春新書・1078円)は、経済分野におけるジェンダーをめぐる状況を豊富な事例でまとめた一冊。企業の先進的な取り組みやダイバーシティの利点を紹介。「いつまで女性支援をやればいいのか」と問われると、著者は役員や管理職の比が50:50になるまでと答えるという。なぜ、と疑問に思う人にぜひ読んで欲しい。
★浜田敬子著 文春新書・1078円=朝日新聞2022年11月5日