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きっと最高の宝物に 湊かなえ

 御朱印帳を買いました。

 先月末、近所のお仲間と日帰り京都旅行に行ったのですが、清水寺参拝の際、1人が御朱印帳を持参していて、立派な御朱印を授かっているのを見て、うらやましく思ったからです。せっかくなら京都で買えばよかったのに、欲しい気持ちが高まるのはだいたい家に帰ってからで(むしろ買わなかったから気になるわけで)、ネットで探してみたものの、これぞ、というものを見つけることができませんでした。御朱印集めには縁がなかったということだろうと、深追いするのもやめました。

 それから数日後、大阪で開催されていた「ベルサイユのばら展」に行きました。私の10代のバイブルと言っても過言ではない、池田理代子先生によるこの作品は、今年、誕生50周年記念で、週刊マーガレット連載中に自分が生まれたことを運命のように感じています。ひとつひとつの展示品を、時には頭の奥に刻み込まれた名台詞(めいせりふ)を心の中で唱えながら、時にはビデオテープが伸びきるまで何度も繰り返し見た宝塚版の名曲を脳内BGMにしながら、じっくりと眺めて周(まわ)りました。

 そして、感動冷めやらぬままグッズ売り場へ。あれもこれもと欲しいものをカゴに入れたらキリがないので、何か記念になるものを、と一品ずつ厳選していると、なんと御朱印帳が! しかも、2種類。ベルばらと御朱印? と、とまどいもしましたが、これに御朱印がいっぱいになったら最高の宝物になるぞ、というワクワク感の方が勝ります。両方買おうかと悩みながらも、黒地にオスカルが描かれた一冊を手に取りレジへ向かいました。

 そんなわけで、年内の仕事はまだ片付いていないのに、初詣が楽しみで仕方ありません。2023年は春頃にサイン会で全国を6カ所ほど周る予定です。その時にも必ず持って行こうと決めています。

 今回で「猫派ですが、」は終了します。長らくの間、お読みいただきありがとうございました。=朝日新聞2022年12月21日掲載