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2023年は卯年! うさぎが主人公の絵本4選

川上未映子さんの新訳「ピーターラビット」シリーズ

 世界中で愛されてきたビアトリクス・ポターの「ピーターラビット」シリーズがシリーズ第1作『The Tale of Peter Rabbit(ピーターラビットのおはなし)』出版120周年を機に、作家・詩人の川上未映子さんの新訳で生まれ変わりました。「英国児童文学で多くみられた『擬人化された動物ファンタジー』でありつつも、動物に対するリアリスティックな視点と描写があることが、『ピーターラビット』シリーズの魅力の一つだと思います」と川上さん。マグレガーおばさんがピーターのおとうさんをパイにしたシーンなど、これまでは削除されていた挿し絵が新版では復活している点にも注目です。

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川上未映子さん

酒井駒子さんの絵本「ビロードのうさぎ」

 ぼうやのもとにやってきたビロードでできたうさぎのぬいぐるみが“ほんとう”のうさぎになるまでを描いたお話です。酒井さんも絵本のぼうやと同じようにぬいぐるみと遊んだ記憶があるそう。ぬいぐるみに心惹かれる気持ちや、あのぬいぐるみたちは今どこにあるんだろうといった一連の自分の気持ちを核に絵本を作っていったといいます。ちいさい人にはいま横にいるであろうぬいぐるみなどのことを思いながら、大人の人にはかつて一緒にいたものたちのことを思い出して読んでもらえたらとってもうれしいですね」

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酒井駒子「ビロードのうさぎ」(ブロンズ新社)より

ふしみみさをさんの翻訳絵本「うんちっち」

 たったひとつの言葉「うんちっち」としか言わなくなってしまったうさぎの子、シモン。そんなシモンがおおかみに食べられてしまい……。『うんちっち』というタイトルだけで子ども心をつかんでしまう一冊です。言葉の印象から下品で不真面目な内容かと思いきや、親子で笑い合える絵本。翻訳者の伏見さんは「汚いことは出てこないのですが、普段『言っちゃダメ』と言われている言葉が何度も繰り返し出てくるので、それだけでストレートにおもしろいんですよね」と、その魅力を語ります。

>ふしみみさをさんのインタビューはこちら

石井睦美さん・布川愛子さんの絵本「ふゆのコートをつくりに」

 「おようふく絵本」シリーズの3作目。うさぎの「さきちゃん」が、お母さんが着ていたコートを、きつねの「ミコさん」にお願いして自分用のコートに仕立て直してもらうお話です。毎回服を作る前にいろんなことを優しくたずねるミコさん。物語を担当した石井さんは、シリーズを重ねるごとに「『ミコさんって、“自分とは?”を気づかせてくれる存在なんだな』とわかるようになってきました」と語ります。布川さんの詩的な雰囲気が漂う絵とともに、寒い冬に心をあったかくしてくれる絵本です。

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『ふゆのコートをつくりに』(ブロンズ新社)より