小学館は、50万語100万用例を収録する『日本国語大辞典』(日国)を約30年ぶりに改訂した第三版を制作すると発表した。初版刊行から60年を迎える2032年のデジタル版公開をめざす。書籍化は未定。
「言語資源としての日本語の歴史は千数百年と長い。この価値ある資源がインターネットで自由に使える時代になった。人類の発展に貢献できると信じている」。編集委員代表で日本語学者の金水敏さんは、新企画発表会でこう話した。
編集部によると、全13巻ある日国の特徴は古事記や日本書紀から昭和の文学作品まで約3万点の文献から豊富な用例を採集した「用例主義」。今は使われない言葉や変化した意味も含めた日本語の変遷をたどることができる。編集にあたっては、基礎語、漢籍、方言、アクセントなど様々な分野の編集部会を設置。各地から研究者が参加する。
第三版リリースに向け、27年からはオンライン辞書・事典検索サイト「ジャパンナレッジ」で、第二版のバージョンアップ版を段階的にリリースしていく。編集長の大野美和さんは「言葉の歴史を明らかにし、皆様のよりどころとなる辞書を編纂(へんさん)していきたい」と話す。(真田香菜子)=朝日新聞2024年08月03日掲載