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(本の舞台裏)歌人のための創作ノート、100のお題を思いのままに

『私のうた』(左右社)

 文庫より一回り大きく、装丁が柔らかな手触りの『私のうた』(左右社・1980円)は短歌を詠む人に向けた創作ノートだ。

 各ページには声、触れる、手紙、旅といった100の題が一つずつ記されている。歌を書き込み、奥付の著者とプロフィル欄に自身の名前などを書き込めば、世界でひとつだけの歌集が完成する。

 左右社は昨年7月、「海」がテーマの現代短歌100首を選んだ歌集『海のうた』を刊行し、6刷とヒットしている。その後「月」「雪」「花」「雨」「夢」とシリーズ化。続いて「自分で詠みたくなった人に」と本書を企画した。装丁は脇田あすかさんが手がけ、手帳に使われる革のようなビニール素材に覆われ、肌身離さず手にしたくなる。

 本のような手帳としては、安野光雅の絵が表紙を飾る『文庫手帳』(ちくま文庫)や『マイブック』(新潮文庫)がロングセラーだ。担当した筒井菜央さんは「短歌のいいところは読み手がすぐ作り手になれること。日常から離れて自分と向き合う特別な時間を過ごしてみては」。(伊藤宏樹)=朝日新聞2025年111日掲載