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【プレゼントあり】今村翔吾さん×山崎怜奈さんのラジオ番組「言って聞かせて」 中江有里さんの「阪神愛」が本に

(左から)山崎怜奈さん、中江有里さん、今村翔吾さん=初沢亜利撮影

ポッドキャストでも聴けます!

 ポッドキャスト「今村翔吾×山崎怜奈の言って聞かせて 」でも、今回の放送をお聴きいただけます。

女優業と執筆活動の相乗効果

今村翔吾さん(以下、今村) 中江さんとは面識ありますね。

中江有里さん(以下、中江) はい、年に2回ぐらいはお会いしています。会議系が多いから、ゆっくりお話しできることはほとんどないですね。本当に立ち話ぐらいです。

山崎怜奈さん(以下、山崎) 中江さんは俳優としても執筆家としても、すごく精力的に活動されていますね。

今村 僕はもちろん女優さんとしては知ってるけど、なんか同業の感覚になってきてますよね。

山崎 芸能界に入る以前から本を読むのはお好きだったんですか?

中江 そうですね。どっちかっていうと芸能界に入る前は物書きになりたいって思ってたんです。ただ、どうやったらなれるのかが分からなかった。

今村 僕もそうでした。

中江 特に関西にいると「東京に行かないといけないのかな」みたいな。でも、芸能界に入って、20代の終わりぐらいに「やっぱり何か書いてみたい」って気持ちがあって、ラジオドラマの脚本を書いたんですね。それがNHKのラジオの懸賞に応募したら採用されまして。

山崎 応募したんですか? だってNHKの朝ドラでヒロインやられたりしたじゃないですか。知り合いの知り合いとかをたどれば、いくらでもありそうじゃないですか。

中江 それは絶対嫌だったんです。だって、それをやったらずっと自分について回る。

今村 分かる、気持ちは分かりますよ。

中江 電話いただいた時に「あの、中江有里さんっていうのは、あの女優の中江さんと同じ人ですか?」って言われて。最終選考は名前も年齢も性別も全部、省いてあるんですって。やっぱり属性が分かると、作品に対する審査員の見え方が変わるんで、それで通りましたって言われたから「よし!」と思いましたけど。

今村 実際そうですよ。僕、昨日も審査してきましたけど、男性か女性かも分からない。

山崎 何が小説家への第一歩だったんですか?

中江 ラジオドラマを書いたら、ある編集者の方に「これをセルフノベライズ(小説化)してみませんか」っていうお誘いがあって。じゃあ、やってみようと思ってやったら全然できない。2カ月かけてラジオドラマの脚本を書いたんですけど、小説にするのに2年かかりました。もうね、見捨てられたと思いましたね。あまりにも自分ができなくて。

山崎 今村先生の場合は逆で、小説から映像ですね。

今村 俺、脚本は書けないから。だからいつも自分の原作にいい脚本家を探す。俳優さんとかカメラマンとか監督とか、全員に余韻を残して、遊ばせるようにするのが脚本ですよね? 僕はそこ書いちゃうんで(自分で脚本は)無理かなって。

中江 そう、そこですね。私は女優で入ったんで、脚本は見慣れてるんです。小説も読んでいたけど、どこまで書いていいのか、委ねていいのか分からない。それで戸惑って2年かかったんですけど。

山崎 でも女優業と執筆の両輪で自分のキャリアを築いていくのは、やっぱり大変ではなかったですか?

中江 いや、どちらかというと、自分が演じてきた経験が書くことに生かされる。撮影現場にいて、自分もカメラをどこに置くか、そこから見た時にどう見えるかっていう視点があるんですよ。自分がやってきたことがそのまま書くことにもつながってるし、逆に今度は自分が演じる時に、この言葉の意味をどう深めていこうかなと考える。すごくいい相乗効果が私はあるので、両方やっててすごく充実するんですよね。

 

阪神タイガースへの熱狂を本に

山崎 11月25日に徳間書店より発売されました『日々、タイガース、時々、本。猛虎精読の記録』についてお話をうかがっていくんですけれど。

今村 聞いたことあったわ、この連載。僕も阪神ファンやから。

山崎 表紙もね、まさに球場で応援している。

中江 甲子園球場ライトスタンドの写真です。

今村 一番熱いところよね。

中江 甲子園はやっぱり聖地なんでね。聖地はがっちり決めて行かないとっていうことで、ちょっと力が入ってる。

 

山崎 この本、面白いのが「トラで読み解く29冊の書評」。どういうことですか?

中江 元々、連載のご依頼をいただいた時、書評の依頼だったんですね。私、書評はいろんなところで書かせてもらってるんで、ちょっと違うのにしようと思っていたら、ちょうどその担当の編集者が阪神タイガースファンだったんです。私も阪神ファンで、ちょっと野球を絡めようっていう話になって、2023年から始めたんですけど、阪神強かったんですよ。優勝して日本一になったんですが、強すぎてどんどん阪神に寄っていってしまって、止める人がいなかった(笑)

今村 阪神の好調に合わせて。

中江 基本的には野球を見ながら、自分が感じ取ったことを今まで読んだ本とクロスさせていく。実際、自分の中でふと浮かぶテーマっていうのがあるんですよ。143試合、全部違う試合を見て、そういう記録と、日常の出来事と本と、っていう変な本ですね、すごく(笑)

今村 めっちゃ阪神(笑)

山崎 今村先生、ニコニコじゃないですか?

今村 ま、分かるからね、我々には共通言語があるから。

山崎 気になるページはありますか?

 

今村 いや、もう、全部阪神。書評と阪神をくっつけようと思ってるのがすごい(笑)

山崎 阪神ファンじゃない人間からすると、なぜ? みたいな気持ちになるんですけど。

今村 この1個1個の試合を本に重ねてっていうのも、俺やったら何書くかな? 近本(光司選手。不動のトップバッター:編集部注)と武士の話を書くかな? あとは、例えば南北朝やったら、第1世代レギュラー全員いなくなって門別(啓人投手。21歳、来季プロ4年目の期待の若手:編集部注)がいきなり開幕戦投げられる、みたいな。

山崎 え、何でもくっつけられるんですか?

今村 そうやって説明すると「やば!」って思うやん。

中江 全然わからないですよ!(笑)

阪神ファンの結束を見せる一冊?

山崎 帯に「先に申し上げるとたいへん要素が多いエッセイなので、念のため箇条書きにしておきます。①18年ぶりのリーグ優勝&38年ぶりの日本一を果たした2023年から、史上最速優勝をした2025年までの阪神タイガース観戦記。②新人時代の思い出から突然ぶっ倒れて緊急手術、復帰してからも応援にのめり込んで行く50代の日常と書評。これまでの試合を振り返るもよし、新たな本の発見もよし、用途は問わず。」とあります。なんかもう、潔いったらありゃしない(笑)

今村 そうそう、だからそれぐらい阪神ファンは楽しめる。阪神ファンじゃない人は書評から楽しんだらええねん。

山崎 書評から、角度を変えて。

今村 けど冷静に考えて、ぶっちゃけ全員に刺さらなくてもいいのよ。阪神ファン5万人に刺さったら重版やから。

山崎 確かに。普通にそうかも。

今村 そう。だからこれ、逆に言ったら阪神ファンの結束を見せろと。

中江 ありがとうございます。私もね、この本を出すっていう時、嬉しかったんです。けど不安なのは、阪神ファンしか読まないだろうと思ったんですよ。でも今の今村さんの言葉を聞いて、すごく勇気づけられました。

今村 だって全国の阪神ファンが読んだら大ヒットやで、これ。外野のチケットよりは安いから。

山崎 いいぞ、いいぞ(笑)。ちなみに中江さんは現在、主演映画「道草キッチン」が公開されています。

中江 これは私にとって26年ぶりの主演映画なんですけれども、主人公の50代独身女性が、更年期障害で倒れて、ひょんなことから徳島に移住するんです。そこでいろんな縁ができて、新しい生き方を始めるっていうお話なんですよ。人生100年、いろんな不調が出てくる中で、今までと同じ生き方はできない。そういった時、緩やかに坂を下る、その景色を眺めるようなお話です。

今村 タイトルの「道草キッチン」もそういう感じはしますよね。

中江 そうですね。道草ですね。人生の道草。

山崎 年齢とキャリアを重ねていくにつれて、役の変化もあるし、書けることの変化も、趣味を全開にできる強さも持てるし。

中江 そう、趣味全開です。いやあ、こんな本を書かせていただいて本当にありがたいですよ。本当に嬉しいです。

 

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