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飽きさせないイタリア警察小説「P分署捜査班 対立」 若林踏が薦める文庫この新刊!

  1. 『P分署捜査班 対立』 マウリツィオ・デ・ジョバンニ著 直良和美訳 創元推理文庫 1540円
  2. 『死の絆 赤い博物館』 大山誠一郎著 文春文庫 858円
  3. 『ハウスメイド2 死を招く秘密』 フリーダ・マクファデン著 高橋知子訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 1408円

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 (1)はイタリア・ナポリにあるピッツォファルコーネ署の面々が活躍するシリーズの第五作。汚職で機能不全に陥った警察署を立て直すために集められた刑事達(たち)が、各々の個性を活(い)かしながら事件に挑む姿が楽しい、群像劇の形式を持つ警察小説シリーズである。作品を重ねるにつれ次第にチームワークも良くなってきた刑事達が本作で取り組むのは、パン屋の主人が殺害された事件の捜査だ。犯人像を巡って検察庁マフィア対策班の存在など、集団捜査ものとしての興趣を盛り上げる要素が満載でとにかく飽きさせない。

 (2)も警察を舞台にしたシリーズものだが、こちらは本格謎解きの技巧が光る作品。事件の遺留品などを保管する「赤い博物館」こと犯罪資料館の館長である緋色(ひいろ)冴子を探偵役としたシリーズの三冊目である。表題作はホームレスと国会議員の他殺体が同時に発見されるという不可解な状況の謎を扱ったもので、僅(わず)かな物証から論理を積み重ねることで意外な構図が広がっていく点が堪(たま)らない。最後に収められた「春は紺色」は探偵自身の過去にまつわるシリーズの異色作で、綺麗(きれい)なオチが心地良い一編だ。

 (3)は二〇二五年の話題作となった『ハウスメイド』の続編。予測不能な展開で読者を翻弄(ほんろう)する巧みなスリラーだっただけに、果たしてどのような続編になるのかと期待半分、不安半分で手に取ってみたところ、これまた見事に翻弄する物語を構築していて驚いた。少ない登場人物でアクロバティックな展開を用意できてしまう手腕に唸(うな)る。=朝日新聞2026年1月17日掲載