森バジルさん「探偵小石は恋しない」どんな本? 色恋案件ばかりの探偵が真相に迫るミステリー
2025年9月刊行の『探偵小石は恋しない』は、福岡市を舞台に重度のミステリオタクである私立探偵の小石が、色恋案件の泥臭い調査を続けるうちに、背後に潜む衝撃の真実へ迫るミステリー小説です。
小石探偵事務所の代表でミステリオタクの小石は、名探偵のように華麗に事件を解決する日を夢見ている。だが実際は9割9分が不倫や浮気の調査依頼で、推理案件の依頼は一向にこない。小石がそれでも調査をこなすのは、実はある理由から色恋調査が「病的に得意」だから。相変わらず色恋案件ばかり、かと思いきや、相談員の蓮杖と小石が意外な真相を目の当たりにする裏で、思いもよらない事件が進行していて——。
「探偵小石は恋しない」(小学館)
書評家の吉田伸子さんは、「好書好日」に掲載された朝日新聞書評で、「分かっているのに、騙(だま)される」「ショート動画もいいが、小説も面白い。もっともっと売れてくれ、と応援したくなる一作だ」と評して、以下のように読み解いています。
とにかく、一話一話のネタ密度が高い。依頼人が持ち込んだ「謎」は端緒にすぎず、矢継ぎ早に意外な展開が連鎖していく。探偵と助手の会話も魅力的だ。数十秒で完結するショート動画が全盛の時代に、読者の興味を惹(ひ)き続けるには「面白さ」を詰め込むしかない。この腹の据わり方は、現代の書き手ならではだ。(略)
キーワードは、偏見と決めつけ。読者は、自分が他者や世界を見つめるまなざしの中に、さまざまな偏見と決めつけが介在している事実に思い至ることだろう。森バジル「探偵小石は恋しない」 密度高く詰め込む「面白さ」
森バジルさんは1992年、宮崎県生まれです。九州大学卒業。2018年、第23回スニーカー大賞《秋》の優秀賞を受賞。2023年、『ノウイットオール あなただけが知っている』で第30回松本清張賞を受賞し、単行本デビュー。他の著作に『なんで死体がスタジオに!?』があります。
『探偵小石は恋しない』は2026年本屋大賞にノミネートされました。本作は、書店チェーン「宮脇書店」(香川県高松市)が主催する宮脇書店員が2025年いま読むべき作品を選ぶ「ミヤボン2025」で大賞を受賞。ミステリー好きの読者が投票で選ぶ「MRC(メフィストリーダーズクラブ)大賞2025」で1位を獲得しています。