マリヤ・バーハレワ〈文〉、アンナ・デスニツカヤ〈絵〉「世界のパン」 歴史や製法、地域ごとにカラーイラストで紹介
日本のパン屋さんで見られるものばかりがパンじゃない。材料でいうと小麦や米、芋にトウモロコシ、方法だと発酵の有無、窯やフライパンで焼いたり、ゆでたり。本書では世界中のパンの歴史や製法が地域ごとに豊かなカラーイラストで紹介されている。
各地域の地図には作物や人々、パンが描かれる。ベーグルや食パン、バインミー、チャパティなど、土地に暮らす人々の歴史を物語っている。パンの地図を眺めていると、地理的、歴史的なつながりによって、とれる作物やパンの製法を辿(たど)ることができる。パンの形状やそれらを焼くための道具だけでなく、各地域の代表的なパンのレシピも図解されている。
それぞれの街の風景の中にパンが並ぶ。中東の市場、サンフランシスコのカフェ、オーストラリアの荒野。あらゆる景色の中でパンはあたりまえのように積まれている。国境のない南極にあるマクマード基地の食堂は24時間開いていて、ベーカリーもある。
パンはいろんなことわざや名言にも引用される。分け合ったり、奪い合ったり、ばら撒(ま)かれたり、平和の象徴や革命のきっかけになったり。パンは学校で配られ子どもの栄養になり、屋台では都市労働者のエネルギーになる。その歴史は、哀(かな)しかったり残酷だったりするものもある。でも、ひとまず私たちは明日のパンを食べて生きる。=朝日新聞2026年5月2日掲載