心理学者・評論家の岸田秀さん死去 「ものぐさ精神分析」
「ものぐさ精神分析」の著者として知られる心理学者・評論家の岸田秀(きしだ・しゅう)さんが25日、老衰で死去した。92歳だった。葬儀は近親者で行う。
香川県出身。精神分析の視点から、組織や社会、国家などを論じたことで知られる。和光大学で教授を務めた。
雑誌「ユリイカ」の連載をもとにした1977年の評論・随筆集「ものぐさ精神分析」では、言語や性など、文化の多様な側面を考察。人間は本能の壊れた動物という前提のもと、自己や国家など、すべてが幻想である、という独自の「唯幻論」をかかげ、注目を集めた。
同書のほかに、社会をにぎわせた事件などを「嫉(ねた)み」に着目して読み解いた「嫉妬の時代」、国家や民族が直面する「精神分裂」を描いた「二十世紀を精神分析する」、「幻想の未来」などの著書がある。対談集や共著、翻訳書も多い。
朝日新聞デジタル2026年05月28日掲載