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「ハリネズミ大全」書評 軽妙に丁寧にトゲトゲを解き明かす

評者: 竹石涼子 / 朝⽇新聞掲載:2026年06月06日
ハリネズミ大全: かわいいトゲトゲの不思議な生態 著者:パット・モリス 出版社:築地書館 ジャンル:科学

ISBN: 9784806717010
発売⽇: 2026/02/27
サイズ: 18.8×2cm/218p

「ハリネズミ大全」 [著]パット・モリス

 ハリネズミは、絵本はもちろん、北欧系のデザインやぬいぐるみなど、日本でもおなじみだ。
 トゲトゲの下には、甲羅のように背中を覆う大きな円形の筋肉。このおかげで危険を感じたとき、イガグリのようなボールになれるという。
 野生では、一晩の移動距離は2~3キロ。畑や池のほとり、テラスの餌場など人家近くを一巡り。
 英国ではナメクジを食べてくれる人間の味方だが、空き缶やプラスチック容器に頭を突っ込んで抜けなくなったり、草刈り機に接触したり。人間が招く惨事も起きる。
 著者の専門は動物学だが、テーマは社会問題や民話にも及ぶ。半世紀以上の研究成果が惜しみなく軽妙につづられる。
 自ら数えたトゲトゲの本数などのトリビアもあり、どの章から読んでも楽しめる。教え子による挿絵がこれまた素敵だ。
 餌場を作ることで野性を奪い、生存率を下げないか、といった疑問にも著者は丁寧に答える。
 まさに「大全」。興味がわくこと間違いなし。ただ、生息地は海外。日本で見かけたら、それは「逃亡中」のペットだ。
    ◇
森田哲夫・川道美枝子訳