『「憲法改正」の真実』書評 大家2人による憂国の講義
評者: 立野純二
/ 朝⽇新聞掲載:2016年04月24日
「憲法改正」の真実 (集英社新書)
著者:樋口陽一
出版社:集英社
ジャンル:新書・選書・ブックレット
ISBN: 9784087208269
発売⽇: 2016/03/17
サイズ: 18cm/249p
「憲法改正」の真実 [著]樋口陽一、小林節
日本の憲法を「みっともない」と言う人々がいる。では、彼らが夢見る「美しい国」とは何か。
戦後平和を形づくってきたものを「押しつけ憲法」とさげすむ人々がいる。では、彼らが押しつけようとする「公益」とは何か。
問題はもはや護憲か改憲か、ではない。法治か専制か、の岐路に日本はある。その危機感が本書を貫く。
安倍政権と自民党の病理の根幹は、戦前の一時期へのゆがんだ郷愁に溺れるあまり、日本の近代史を理解しないことにある。
人権・平等の概念は、すでに明治初期には芽生えていた。昭和の敗戦とともに生まれたものではない。
世界の中の日本を考え悩んだ先人たちが、人類の普遍的な到達点として築いた立憲主義を、安倍政権は破壊しようとしている。
権力による「革命」を阻むには、市民が「保守」の共闘を組むしかない。憲法学の大家2人による憂国の講義が、読者を「心の独立戦争」へと、いざなう。
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集英社新書 821円