たくさんの不思議に出合い、「どうして?」と考えることが大好きなくまの子が主人公の童話「くまの子ウーフ」(ポプラ社)が、来年で刊行から50年になります。作者の神沢(かんざわ)利子さん(93)に作品への思いなどを聞きました。
――ロングセラーですね。
子どもは好奇心のかたまりで、色んなことが新鮮。ウーフの「なぜなぜ?」という思いに、子どもたちは「自分と一緒だ」と、面白がってくれているのだろうと思います。ちょっとボーッとしたウーフと、利口でお兄さんぶっている相棒のキツネのツネタ。この対比が面白いのではないでしょうか。
――ウーフが抱く疑問はどうやって考えたのでしょう。
誰かからヒントを得たとか、モデルはまったくないの。好奇心旺盛なウーフは、私の投影とも言えます。そして、答えはいつも子どもが考えるようなもの。理詰めだと面白くないですしね。
――子どもたちにメッセージを。
「生きている」というのは、たった今のことを指す。今しかないからこそ、大事に、十全に、力いっぱい生きていこう。力が及ばなくてもいい。また明日がある。(聞き手・及川綾子)=朝日新聞2018年1月27日掲載
編集部一押し!
- インタビュー 「尾上右近 華麗なる花道」インタビュー カレーと歌舞伎、懐が深いところが似ている 中村さやか
-
- インタビュー 鈴木純さんの写真絵本「シロツメクサはともだち」 あなたにはどう見える?身近な植物、五感を使って目を向けてみて 加治佐志津
-
- コラム 三浦しをんさんエッセー集「しんがりで寝ています」 可笑しくも愛しい「日常」伝える 好書好日編集部
- 小説家になりたい人が、なった人に聞いてみた。 【特別版】芥川賞・九段理江さん「芥川賞を獲るコツ、わかりました」 小説家になりたい人が、芥川賞作家になった人に聞いてみた。 清繭子
- 朝宮運河のホラーワールド渉猟 黒木あるじさん「春のたましい」インタビュー 祀られなくなった神は“ぐれる”かもしれない 朝宮運河
- インタビュー 「親ガチャの哲学」戸谷洋志さんインタビュー 生まれる環境は選べない。では、どう乗り越える? 篠原諄也
- インタビュー 新井紀子さん×山本康一さん対談(後編) 辞書は民主主義のよりどころ PR by 三省堂
- インタビュー 新井紀子さん×山本康一さん対談(前編) 「AI時代」の辞書の役割とは PR by 三省堂
- インタビュー 村山由佳さん「二人キリ」インタビュー 性愛の極北に至ったはみ出し者の純粋さに向き合う PR by 集英社
- 朝日ブックアカデミー 専門外の本を読もう 鈴木哲也・京大学術出版会編集長が語る「学術書の読み方」 PR by 京都大学学術出版会
- 朝日ブックアカデミー 獣医師の仕事に胸が熱く 藤岡陽子さんが語る執筆の舞台裏 「リラの花咲くけものみち」刊行記念トークイベント PR by 光文社
- 朝日ブックアカデミー 内なる読者を大切に 月村了衛さんが語る「作家とはなにか」 「半暮刻」刊行記念トークイベント PR by 双葉社