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意外に知らないこいのぼり

 意外に知らないこいのぼりの歴史とうんちくが詰まった1冊。江戸中期に真鯉(まごい)だけで誕生し、明治に緋鯉(ひごい)が加わった。19世紀のウィーン万博など外交にも用いられた。
 100点以上の図版は、鯉に見えない江戸の素人作から美術家の奇抜なデザインまで多彩で楽しい。大空でも目立つデフォルメの手腕が光る。極彩色の関東系、単色の濃淡で金太郎が抱きつくこともある関西系と地域色も豊か。逆風でこそ力強いその姿に励まされる人もいるだろう。今年も元気に泳いでる。 (小川雪)=朝日新聞2018年4月21日掲載