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「バカラの心臓」つかんだ高揚感

波の音が消えるまで 上 著者:沢木 耕太郎 出版社:新潮社 ジャンル:小説・文学

価格:1728円
ISBN: 9784103275176
発売⽇: 2014/11/18
サイズ: 20cm/454p

老人が遺した一冊のノート。たった一行だけ書かれた、「波の音が消えるまで」という言葉。1997年6月30日。香港返還の前日に偶然立ち寄ったマカオで、28歳の伊津航平は博打の…

評者:朝日新聞読書面 / 朝⽇新聞掲載:2015年01月18日

波の音が消えるまで上下 [著]沢木耕太郎

 元サーファーでカメラマンの航平は、バリ島からの帰国途上、マカオでバカラをするうちに「久しぶりに熱くなることができるものを見つけられた」と感じる。謎の老人と出会い、その跡を追っていくうちに「バカラの心臓部」をつかんだような高揚感に酔い、まるで「道」を究めるようにしてのめり込んでいく。必勝法などありはしないことはわかっているし、それを追い求めて行く先に待っているのが「破滅」であることもわかっている。
 博打(ばくち)で永遠に勝ち続けることができるとしたら、それは神だけだろう。老人の遺(のこ)した言葉をてがかりに、果ての果てまで行った航平の見た景色を静かに味わいたい。
    ◇
 新潮社・上下各1728円