1. HOME
  2. 書評
  3. 弘徽殿女御への著者の愛

弘徽殿女御への著者の愛

十二単衣を着た悪魔 源氏物語異聞 (幻冬舎文庫) 著者:内館 牧子 出版社:幻冬舎 ジャンル:一般

価格:832円
ISBN: 9784344422742
発売⽇:
サイズ: 16cm/542p

59もの会社から内定が出ぬまま大学を卒業した二流男の伊藤雷。それに比べ、弟は頭脳も容姿も超一流。ある日突然、『源氏物語』の世界にトリップしてしまった雷は、皇妃・弘徽殿女御…

評者:朝日新聞読書面 / 朝⽇新聞掲載:2012年06月10日

十二単衣を着た悪魔―源氏物語異聞 [著]内館牧子

 タイトルは映画「プラダを着た悪魔」から引用し、舞台は源氏物語。とくれば、スポットが当たるのは光源氏の宿命の敵役・弘徽殿(こきでん)女御だ。男子フリーターが突然、千年前の源氏物語の世界にタイムスリップ。たまたま持っていた常備薬の見本と「あらすじ」のおかげで、未来を予見する陰陽師として女御に仕えることに。実際に接した女御は、「『恐い女』と言われるのは嫌いじゃない」という強くて筋の通ったキャリアウーマン。弘徽殿コードで読めば、桐壺更衣はじめ「いい役」の女たちの嫌な面が見えてくる。ストーリーは同じでも、人間関係の重心が違ってくるのが面白い。弘徽殿女御への著者の愛は、主人公のフリーターも救う。
    ◇
幻冬舎・1680円