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立川談志「遺稿」書評 喋っている事書いてるだーけ

評者: 朝日新聞読書面 / 朝⽇新聞掲載:2012年05月27日
遺稿 著者:立川 談志 出版社:講談社 ジャンル:エッセイ・自伝・ノンフィクション

ISBN: 9784062176941
発売⽇:
サイズ: 20cm/253p

遺稿 [著]立川談志 [絵]山藤章二

 談志死す、の報が流れた去年11月23日。「週刊現代」には、談志連載がいつも通り載っていた。それらを再構成した一冊。
 「ある時、俺が怒った。その時の態度がよかった。“怒られちゃった”。可愛(かわ)いいの何の、俺、この一言でこの人を嫁にと決めてよかった」と書く「女房(ノン)くんのこと」。「小沢一郎、悪(わ)るそうな奴(やつ)である。第一に面がよくない」「世界に天才は二人居る。それはレオナルド・ダ・ビンチと手塚治虫」「銭湯は裏切らない」といった言葉が、病で声を失った後も、筆で残された。「俺の文章てのは普段喋(しゃべ)っている事をそのまま書いてるだーけ」。その至難の業を軽々とやってのけたのが、立川談志だった。
    ◇
 講談社・1500円