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「わたしといろんなねこ」 言葉選び、面白く小気味いい

「わたしといろんなねこ」

 すぐ余計なことを言っちゃうあやちゃん。友達のアッキーとはケンカ中、児童館で知り合った気になる女の子さくらちゃんともなんだか、しっくりいかない。おまけに本当はねこが飼いたいんだけどマンションはペット禁止だし、うまくいかない毎日だ。そんな時、とてつもなく大きなねこがあらわれて……。描かれているのは小学生らしい日常。そこにあらわれた不思議なねこたちとのかかわりが見事。のびやかな絵と独特の言語センスでたくさんの絵本を生み出してきた作者による初めての童話。前向きで元気いっぱいの主人公が、作者らしいコミカルさと小気味のいい言葉選びで生き生きと描かれ、読むことが楽しくなる気持ちのいい一冊。(丸善丸の内本店・児童書担当 兼森理恵さん)

「ぼくにまかせて!」

 文字のないこの絵本は、絵がストーリーを展開していく。野球の仲間に入れてもらった男の子のところにボールがとんできた。「ぼくにまかせて!」とはりきったもののボールはグラブの外に。何回か失敗をくり返し、はじめてボールをグラブでキャッチすることができた時の男の子の顔は自信に満ちていて、まぶしい。(ちいさいおうち書店店長 越高一夫さん)

「行ったり来たり大通り」

 一本道ではなく大通り。だからいろんな人や乗り物や動物が行き来します。お店も会社も病院も図書館もあれば、工事も火事も迷子も出会いも脱走もあります。あっちのページで見た人とこっちの事件の関係は? 行ったり来たり、めくる自由と発見の楽しさを体感できる絵本です。とめどなくふくらむ24ページ。(絵本評論家・作家 広松由希子さん)朝日新聞2018年8月25日掲載