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撮影前から原作漫画のキャラに恋してた 森川葵さん「文学処女」に主演

文:永井美帆、写真:樋口涼

 漫画アプリ「LINEマンガ」の連載から生まれたコミック『文学処女』(中野まや花作)がMBS/TBS系の深夜枠で実写ドラマ化される。「文学処女」とは、本に夢中になるあまり、気がついたら青春も恋愛も全てフィクションになってしまっていた文学少女の主人公、月白鹿子(つきしろ・かのこ)のこと。国内最大の漫画アプリである「LINEマンガ」の中でも、「コメント欄やSNSでドラマ化を期待する声が多かった」(中野崇編集長)という人気作だ。

 26歳にして恋を知らない編集者の鹿子役は、女優の森川葵さん(23)。鹿子より一回り年上の恋ができない人気小説家、加賀屋朔(さく)は城田優さん(32)が演じる。念願かなって加賀屋の担当になった鹿子は、ツンデレな加賀屋に振り回されながらも、「遅咲きの恋」に目覚めていく。

 撮影前から鹿子になりきり、加賀屋に恋をしていたという森川さん。「何度も原作を読んでいるうちに、加賀屋先生のミステリアスな魅力にひかれていきました。『何でこんなセリフを言うんだろう』『もっと知りたい』って前のめりになって読みました。勝手に加賀屋先生への愛を深めていたので、撮影で初めて城田さんと一緒になった時は直視できないくらい。立ち姿が加賀屋先生そのもので、胸が苦しくなりました」

 原作のコンセプトは「大人の少女漫画」。鹿子が繰り広げるロマンチックな妄想に、深夜ドラマならではの味付けをした濃厚なラブシーンも話題だ。「城田さんとは3年前に先生と生徒役で共演したことがあったけど、今回は恋愛相手。最初はそんな雰囲気が出せるか不安でした」と森川さん。かつて先生役だった城田さんは「禁断の恋」と笑いながら、「久しぶりに会ったら、随分雰囲気が変わっていて驚きました。すっかり大人の色気も出ていますね」。映像美へのこだわりにも引き込まれる。

 鹿子とは同年代の森川さんだが、性格は対照的だという。「『本以上に夢中になれる人がいなかった』と言い切れる鹿子がうらやましいです。私は一つのことを突き詰めるのが苦手で、その前に満足して終わっちゃうタイプだから」と分析する。

 しかし、撮影中は原作漫画を手放さず、何度も繰り返し読んだ。「吹き出しの外に書いてある言葉とか、鹿子の表情とか、細かい部分まで研究しました」。原作のある作品を演じる時は、いつも台本と原作を照らし合わせるように読み比べる。「台本と原作を別物と分けて考える俳優さんもいるけど、私は原作に近いものにしたい。原作のファンが見た時、頭の中で漫画の場面がよみがえってくるような、『原作をリスペクトしてつくってくれたんだ』と思ってもらえるような作品にしたいです」

 演じるドラマはアプリ発だが、自身の読書ライフは紙書籍派という。「電子書籍の便利さは魅力ですが、私は印刷されたものを手に持って読む方が記憶に残る気がするんです」。最近読んでいる本を尋ねると、お笑い芸人、山里亮太さんの『天才はあきらめた』(朝日文庫)をあげた。7月に発売され、1カ月で7万部を売り上げた話題作だ。「山里さんが日々の恨みつらみをつづっているエッセーなんですけど、ある日突然事務所に届いたんです。『何で私に?』って驚いたけど、さすが芸人さんですね。言葉の選び方が本当に面白くて、撮影の息抜きに少しずつ読んでいます」