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仮名垣魯文『安愚楽鍋』の牛鍋を動画で味わう 

「文明開化」を食べる 仮名垣魯文『安愚楽鍋』

 「あの小説をたべたい」は、好書好日編集部が小説に登場するごはんやおやつを料理し、食べることで、その物語のエッセンスを取り込み、小説の世界観を皆さんと共有する記録です。

 平成最後の年末、そして明治150年という2018年の締めくくりとして、今回は仮名垣魯文『安愚楽鍋』で、時代の変化に思いを馳せたいと思います。

 江戸から明治へ。作品の舞台は、時代の移り変わりとともに新たな風俗として登場した牛鍋屋。西洋かぶれや太鼓持ち、田舎侍など、牛鍋屋を訪れる客が交わす世間話の数々をありありと描き、当時の牛鍋屋の繁盛ぶりが伝わります。

「文明開化」を食べる

 歴史の授業で習ったように、牛鍋は文明開化の象徴。西洋かぶれもこう言っています。

モシあなたヱ、牛は至極高味でごす子。此肉がひらけちゃア、ぼたんや紅葉は、くへやせん。

 当時の牛鍋の具材は牛肉とネギのみというシンプルなもので、牛肉の臭み消しに味噌ダレを使っていたそう。ネギは一寸の半分ほどに切っていたことから、「五分」と呼ばれていたんだとか。

ヲイ/\、ねへさん。生で一合。葱(ごぶ)も一處(いっしょ)に、たのむ/\。

 でも時は平成。というわけで、今回はいわゆるすき焼きの定番具材、ネギはもちろんのこと、春菊やしいたけ、えのき、豆腐にしらたきを入れて、割り下でグツグツと煮込んでみました。
 もちろん、味は安定のすき焼き。おいしい鍋を囲むと、人は饒舌になるようです。あーだ、こーだと話に花が咲くのは、今も昔も変わらない風景でした。