プールの壁や床は、機能性を重視した直線的なデザインで、共産主義の面影を残す。そこに立つ人間は無表情だ。
写真家マーリア・シュヴァルボヴァーが、育ったスロバキアのプールで撮影した。「共産主義の世をこの身で体験していない」という１９８８年生まれ。青い水、黄や赤の水着。淡く透き通った色使いが新鮮さとともに、あめ玉のような懐かしさも感じさせる。
無機質に映しだされた人間だが、背中の丸みや脚線が、直線的な背景の中で愛らしく見えてくる。（神宮桃子）＝朝日新聞2019年2月2日掲載
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