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38年の時を経て続編が登場! くるり・岸田繁が読む、矢作俊彦×大友克洋「気分はもう戦争3(だったかも知れない)」

「大友作品は大友作品だった」

 大友作品の新作が読める!ということで読ませていただいた「気分はもう戦争」の続編、というよりは続き。小説家の矢作俊彦氏による原作と、大友克洋氏の作画によるタッグである(藤原カムイ氏による同作も過去に存在した)。

 今作は続編読み切り、ということで、今までのストーリーを読んでみたいと思っていたのだが残念ながら絶版、ということで、貴重な読み切りになるかもしれない新作を何度も読んだ。

 日本で生きている身として、それを実感として消化するには少し時間がかかるであろう「戦争のない時代」としての「平成」。

 世界では冷戦後の湾岸戦争、イラク戦争、アメリカ同時多発テロなど、様々に不穏な空気感を今の時代に残すかたちで、日本を含めた東アジアにも、ミサイルと核の問題、中長期的に見据えられるであろう覇権国のイメージがまとわりつく。

 時は1980年代初頭「気分はもう戦争」のオリジナル作品が描かれてから既に40年近くが経ち、「平和」という言葉を様々なかたちでスケープゴートにしてきた日本が、どのように多様かつ複雑化する価値観と折り合いを付け、新しい時代の「平和」を目指すことになるのか。戦争を知らない私たち世代が経験した、大きな災害や慢性的な景況の悪化がどのように、不穏な「気分」に対峙しながら、新しい時代の「平和」のイメージを持てば良いのか。旧態依然とした物理的な「戦争」だけではない、私たちを取り巻く様々な争いや不可解な現実を見つめ直すキッカケを、再び大友克洋作品から得たいと思うのは我儘でしょうか。続編を期待します。

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