ポーランド出身の著者はグーグルなどでの勤務を経て人材育成、組織開発コンサルタント会社を起業。ユニクロの黒シャツとジーンズが定番のビジネススタイルで、「スーツでないと失礼だ」という人とは「仕事をしなくてもいい」と言い切る、確固とした価値軸を持つ人だ。
その彼が掲げるスローガンが「PLAY WORK(遊ぶように働く)」。「働き方改革」が言われながら、日本人の間には「働く=暇つぶし、つらいこと」という意識がまだ根を張っている。人生の大半を占める仕事の時間が、それでいいのか。働くことを楽しみに変えていくことからイノベーションは生まれていく、と著者は説く。
遊ぶように働くには、「まず自分とは何者か、何を実現したいのかを自分に問う必要」がある。上意下達で何となく回っている組織に慣れてしまうと、この質問に答えることは難しい。本書では「自己認識」「自己開示」「自己表現」「自己実現」と、四つのステップを経て、その答えを見つける道筋が示される。
軽い語り口ながら、いや、だからこそ論旨は明快。貧しかった境遇からグローバルな働き方を実現した著者自身の経験が、その背景にある。=朝日新聞2019年9月7日掲載