小熊英二 慶応義塾大学教授(歴史社会学)
- ヤシャ・モンク、ジョーダン・カイル(吉田徹、増田穂訳)「『ポピュリスト統治』がもたらすもの」(世界4月号)…(1)
- 特集「学校現場の働き方改革」(都市問題6月号)…(2)
- 岡林佐和「『子どももキャリアも』は贅沢(ぜいたく)か メディアの働き方に変化の兆し」(Journalism10月号)…(3)
選挙で下野したポピュリストはわずか17%だそうだ=(1)。「民意」の複雑化と多様化は、制度の機能不全と現場の疲弊を招く=(2)。「少数派」の顕在化が生む変化に期待したい=(3)。
津田大介 ジャーナリスト・早稲田大学教授
- 小宮友根「表象はなぜフェミニズムの問題になるのか」(世界5月号)…(1)
- 浅羽祐樹、木村幹「『最も近くて遠い国』の論理と心理」(中央公論11月号)…(2)
- 特集「薬物依存からの回復支援」(都市問題11月号)…(3)
今年は日本が従前より抱える問題が深刻化した年として記憶されるだろう。(1)はジェンダー、(2)は日韓関係、(3)は薬物という主題で衝突する構造を冷静に分析し、解決の糸口を探る有用な読み物だ。
松原隆一郎 放送大学教授(社会経済学)
- マイケル・ハーシュ「宗旨変えしたノーベル賞学者」(ニューズウィーク日本版12月3日号)…(1)
- 山田正彦『売り渡される食の安全』(角川新書)…(2)
- 森一郎「核時代のテクノロジー論」(ひらく2号)…(3)
(1)でP・クルーグマンが、中国との競争で米国労働者が被る深刻な痛手を過小評価したとして、過度の自由貿易に疑問を呈している。10年は遅く、それでいて筆を折らないのが彼らしい。=朝日新聞2019年12月25日掲載