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「さかな博士のレアうま魚図鑑」 これぞ海の恵みの“珍味”!

伊藤柚貴「さかな博士のレアうま魚図鑑」(日東書院本社)より

 地域により差はあれど、いつもよりも短い期間となった2020年の夏休み。例年であれば夏休みの宿題との最終決戦は8月31日というスケジュールが、1週間ほど繰り上がったというところが多いのではないでしょうか。ちなみに8月31日は、宿題との悪戦苦闘の思い出とともに、学ぶこと、教育を受けられることの喜びに気づいて欲しいという願いを込めて「宿題の日」という記念日に制定されているんだそう。

 そんな宿題へのセンチメンタリズムに浸ってしまう夏の終わり、目に留まったのが「さかな博士のレアうま魚図鑑」です。

 著者である“さかな博士”とは、プロの漁業関係者でも超難関といわれる「日本さかな検定」1級に史上最年少(2019年当時、小学5年生)で合格した伊藤柚貴くん。6歳のころから、自分が食べた400種近くの魚について“珍しさ”と“美味しさ”で独自に格付けをし、ノートに記録し続けているんだそう。本書は、そのノートをもとに「入手しづらいけど味は絶品」という 196種の魚たちを紹介する図鑑です。

 とても丁寧なスケッチと魚への愛情たっぷりの自筆コメントからは、学ぶ喜びや楽しさが溢れ出んばかり。中でも、激レアだというヨコヅナマルコバンを初めて食べた際のレポートは、タイムラインでまとめられていて、臨場感と興奮具合が伝わってきます。なんと、この種と認識して食べたのは柚貴くんが日本初なんだとか!

伊藤柚貴「さかな博士のレアうま魚図鑑」(日東書院本社)より

 取り上げられている魚の多くが、見慣れない姿形や知名度が低くて売れないがために、獲れても捨てられてしまう「未利用魚」とのこと。その魅力を多くの人に知ってもらい、「未利用魚」ならぬ「魅了魚」にしたいという思いを込めて、柚貴くんはこの図鑑をつくったといいます。

 まだ知らぬ美味しい珍味の数々を自分の舌で味わってみるのが本書の醍醐味。気になる魚を見つけたら、魚屋さんに足を運んでみることをおすすめします。

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