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『「仮住まい」と戦後日本』書評 「家」から日本社会を考える

評者: 本田由紀 / 朝⽇新聞掲載:2020年12月19日
「仮住まい」と戦後日本 実家住まい・賃貸住まい・仮設住まい 著者:平山洋介 出版社:青土社 ジャンル:住まい・インテリア

ISBN: 9784791773213
発売⽇: 2020/10/24
サイズ: 19cm/375,5p

単身世帯や困窮家庭の増大、進む高齢化、たび重なる災害…。変化する社会のなかで、良質で手ごろな住宅をつくるにはどうすればよいのか。困難を生きる人びとの住まいに光を当てながら…

「仮住まい」と戦後日本 実家住まい・賃貸住まい・仮設住まい [著]平山洋介

 3月に『マイホームの彼方(かなた)に』を上梓(じょうし)した著者が、その裏面となる「仮住まい」を多角的に論じた書。
 戦後の住宅政策はローンで持ち家を買うことを奨励してきたが、現在は、貧困により親元を出られない者、親元を出て家賃で苦しむ者、被災後に仮設住宅やみなし仮設から長く出られない者、生活困窮から劣悪な施設に入るしかない高齢者など、従来の政策から外れる人々が増大している。
 家を持てた場合もローンの負担は重くなり、返済に貢献した女性たちの多くに所有権はない。他方では住人を失った空き家があふれる。
 住宅資産の巨大な不平等の是正どころか、ごく一部にすぎない相対的に富裕な層の三世代同居を奨励する愚策まで行われている。
 著者の文体は簡潔かつリズミカルで、データや制度の解説が豊富に盛り込まれ、しかも冷静な怒りに満ちていると感じられた。「家」から日本社会を透視したい方は必読である。