「あの小説をたべたい」は、小説に登場するごはんやおやつを再現してみる動画コンテンツ。「どんな味だろう?」「こんな料理かな?」と想像をふくらませて、好書好日流のレシピで紹介します。
今回はちょっと趣向を変えて、食通としても知られた向田邦子さんのエッセイ「食らわんか」に登場した一品を。読んでいる最中、あれもこれも食べてみたいと思うものばかりで、終始、食欲を刺激されます。その中から向田さんが愛した海苔弁を作ってみました。
好書好日流「向田邦子の海苔弁」の作り方
<材料(1人分)>
《肉のしょうが煮》
- 豚コマ肉 60g
- しょうが 1片
- 醤油 大さじ1/2
- 酒 大さじ1
《塩焼き卵》
- 卵 1個
- ごま油 大さじ1
- 塩 ふたつまみ
《海苔ご飯》
- ご飯 1膳分(180g)
- 海苔 1枚
- かつお節 6g
- 醤油 小さじ1
<作り方>
- 《肉のしょうが煮》
豚コマ肉は大きい肉を小さく切る。しょうがは千切りにする。小鍋に《肉のしょうが煮》の材料を全て入れて、中火にかけ、水分がなくなるまで炒める。 - 《塩焼き卵》
卵は塩を加えて溶きほぐす。フライパンを強火で加熱し、ごま油を加える。湯気が出るまで温めたら卵を加え、大きく混ぜて大きめの炒り卵にする。 - 《海苔ご飯》
かつお節に醤油をかけてからませる。お弁当箱の1/3にご飯を薄く敷き詰め、かつお節を薄く敷く。海苔を8等分に手で折って切り分け、2~3枚を上にのせる。これを3回繰り返す。最後に、一番上にご飯粒をひとならべするようにのせる。 - 空いている部分に1と2を入れ、蓋をして5分蒸らす。
向田邦子「食らわんか」ってどんな作品?
「食らわんか」は最後のエッセイ集『夜中の薔薇』に収録された一編。仕事や身なりなどは多少自分を飾って見栄をはる部分もあるが、食に関しては気楽に食べられるものが好きだという向田邦子さん。
その証拠とでもばかりに、北アフリカの旅から戻って真っ先に作ったのが海苔弁だといいます。肉のしょうが煮と塩焼き卵をつけるのが好みなのは、子供の頃のお弁当によく登場したからだと、当時の海苔弁にも想いを馳せます。
塩焼き卵にはいろんなレパートリーがあると綴られていますが、今回のレシピでは中華風のものにしてみました。海苔ご飯、肉のしょうが煮、塩焼き卵の三位一体の味をぜひ堪能してみてください。
<好書好日の記事から>
・向田邦子『きんぎょの夢』のおでんを動画で味わう