1. HOME
  2. 書評
  3. 「詩人になりたいわたしX」書評 いい「先生」に巡り合えたら

「詩人になりたいわたしX」書評 いい「先生」に巡り合えたら

評者: 温又柔 / 朝⽇新聞掲載:2021年03月20日
詩人になりたいわたしX 著者:エリザベス・アセヴェド 出版社:小学館 ジャンル:物語・おはなし

ISBN: 9784092905887
発売⽇: 2021/01/20
サイズ: 19cm/423p

【全米図書賞(児童書部門)(2018年)】【ボストングローブ・ホーンブック賞(フィクション部門)】【マイケル・L・プリンツ賞(2019年)】【カーネギー賞(2019年)】…

詩人になりたいわたしX [著]エリザベス・アセヴェド

 シオマラは十五歳の女の子。頭文字はX。
 十二歳の誕生日に双子の兄から「おまえはあまりしゃべらないから」と革の表紙のノートを贈られて以来、「こういえたらよかったのにってことを全部」「書いて、書いて、書く」日々だ。
 ガリアーノ先生は、「世間の固定観念をはしからつかまえて、まとめて片腕でぎゅうぎゅうしめあげて、そこから真実をしぼり」だしたようなシオマラの文章を肯定し、その調子で「ありのままの自分を解き放つ」ために書くべきだと伝える。先生の支持はシオマラを勇敢にする。
 「わたしはX、自分を表すしるし。線の上に自らを刻みつける」
 詩人・Xの誕生を見届けたあと、あまりしゃべらなくても、一見、大人に逆らっているようでいても、「おまえの考えることは大切だといって」くれる誰かとの関係を切に欲する全ての子どもたちが、彼や彼女の「ガリアーノ先生」と巡り合えるように祈りたくなる。