川西賢志郎 僕らの芸人人生はゆっくり進んできたという意味をタイトルに込めました。ちょっとでも気になったら、手に取ってもらえるとうれしいです。
水田信二 めっちゃ元気になるわけではないけど、悲しくもならない。どんな精神状態でも読めるアラフォー男のエッセーなので、少し時間が空いたときにでも開いてもらえたら。
川西 雑誌で毎月交代で書いていて、お互いの内容はノータッチでした。仕事のことや故郷の思い出などテーマはそれぞれ。本になって相方のを読んだけど、いつもの水田君と違わない。伝え方に気を遣って、敬語の語尾にそれが表れてたね。
水田 敬語にしないと、自分のとげというか、嫌なところが際立っちゃう。「こう思うんです」って普段から柔らかく伝えるようにしているんで。漫才のネタ作りみたいにツッコミがないから、ひとりトークライブみたいな感覚で書いてました。
川西 僕が書き下ろした「漫才の話」には、漫才歴15年目の僕らの思いを素直に書いてます。水田君は元料理人の頑固なイメージのまんま「頑固」、僕はそれに隠れた「むっつり頑固」。頑固者同士でもやれるのが漫才です。僕らの思い通りの演出にこだわり、フリやボケのタイミングも固く決めて。
水田 全部2人の責任でできる。人が考えたものを演じるより好き。その場でウケたときの反応が感じられる喜びもある。
川西 いまもテレビより劇場の漫才の方が多いですかね。今日は新宿のルミネの舞台に3回、合間にこのインタビュー。軸になる漫才をしっかりやって、それ以外は好きに、何やってもいい。エッセーも続けたい。
水田 じゃあ、僕は映画とドラマに出て、アイドルともつきあいたいです!
(聞き手・森本未紀 写真・干川修)=朝日新聞2021年4月21日掲載