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メディアの今後を論じる「ニュースの未来」など注目の新書5選

「ニュースの未来」

 新聞社とネットメディアを経て、現在はノンフィクションライターとして活躍する著者が、自身の仕事を振り返りながら、メディア業界の今後を論じる。良いニュースには「謎」「驚き」「批評」「個性」「思考」があり、それはメディア環境の変化には容易に揺さぶられないと説く。
★石戸諭著 光文社新書・946円

「ヴィクトール・ユゴー 言葉と権力」

 副題は「ナポレオン三世との戦い」。詩人、作家、政治家として知らぬ者のないユゴーは「もっぱらみずからの言葉の力によって」戦い続けた。本書は、この「徹底して知行一致」の文人政治家の生涯を「言葉の価値が下落し、風化しつつある現代」によみがえらせる。
★西永良成著 平凡社新書・968円

『「非モテ」からはじめる男性学』

 恋人がいない、女性から好意を向けられないという苦悩について男性同士で語り合うグループ「ぼくらの非モテ研究会」。発起人の著者が男性たちの悩みの内実を描き、男性集団の中の権力関係などが背景にあると指摘する。「非モテ」の苦悩が和らいだ実践例も紹介。
★西井開著 集英社新書・924円

「筒美京平 大ヒットメーカーの秘密」

 「また逢(あ)う日まで」「木綿のハンカチーフ」など、シングル売り上げ7560万枚の作曲家・筒美京平(1940~2020)。実弟や作詞家、歌手と共に素顔に迫る。洋楽的なテイストを日本の流行歌に生かし、歌手の「生まれ持った声の最もいい部分を探り当て」、曲を作ったという。
★近田春夫著 文春新書・935円

「人事の日本史」

 古代から近世を人事の観点で追求する1冊。真の人材は「分別」「遠慮」「兵(つわもの)」の気風を備えるという。人を巧みに活用した武田信玄、絶大な権力の支援で才能を開花させたがトップの交代で暗転した能楽者・世阿弥――。歴史を探れば、人と組織のあり方も見えてくる。
★遠山美都男ほか著 朝日新書・1023円=朝日新聞2021年9月18日掲載