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歴史に新たな光を当てる「日本史サイエンス〈弐〉」など佐藤健太郎が選ぶ注目の新書2点

「日本史サイエンス〈弐〉 邪馬台国、秀吉の朝鮮出兵、日本海海戦の謎を解く」

 歴史に新たな光を当て、好評を博した前著から2年、続編の『日本史サイエンス〈弐〉 邪馬台国、秀吉の朝鮮出兵、日本海海戦の謎を解く』(講談社ブルーバックス・1100円)が登場した。著者・播田安弘氏が、船舶の専門家としての知識を元に、日本史上のターニングポイントとなった三つの謎に挑んでいる。
 著者の主張の歴史学的な妥当性については、前著同様に多くの議論がなされることだろう。だが、よく知っていたつもりの事件を、思ってもいなかった角度から読み解いていく有り様は、「痛快」という言葉がぴったりする。物事を自分なりに考え、解釈をしていくよい練習にもなりそうだ。

「生き物が老いるということ 死と長寿の進化論」

 『生き物が老いるということ 死と長寿の進化論』(中公新書ラクレ・902円)は、老化と死について、著者・稲垣栄洋氏が植物学者の立場から語った一冊。本来極めて重いテーマを、科学的なかっちりした記述と、詩的でさえある文体を巧みに交え、さらりと読ませる。さすが名手と唸(うな)らされる筆さばきだ。
 誰しも老いたくはないし、死にたくもない。しかし老化と死は、生物が進化の過程で獲得した、重要なメカニズムなのだという。そして人類は生物史上初めて、「老後」という時間を獲得した種になった。さあ、この時間をどう生かそうか。=朝日新聞2022年6月25日掲載