少し前にこの欄でアメリカの刑事やFBIのドラマにはまっていると書いたが、相変わらず観(み)ている。先月、今まで観られなかった過去の分が5シーズンもまとめて配信になり、夜更かしの日々になっている。
いくつものドラマを何年分も短い期間に観ていると、共通点や時代の変化がよくわかる。主演の女性刑事が潜入捜査で何回分か登場しないことがあった。検索してみると、演じている俳優さんが産休だったらしい。FBIのドラマのほうでも、やはりメインの女性捜査官役の俳優さんが産休のために遠い街に潜入捜査にいく設定になっていた。
アメリカのドラマは、1シーズンがだいたい20エピソード前後、放送される期間も実質半年分くらいなので、産休がとりやすいのかもしれない。個性的なキャストたちの群像劇スタイルで何シーズンも続いているので、その間は別のキャラクターが活躍する話になって新鮮でもある。部下の女性刑事役の俳優さんが妊娠した際は、ドラマの中でも妊娠して悩んだ末にシングルマザーになるというストーリーになっていた。
ついつい作り手の視点で見てしまうところがあるので、なるほどなあ、と感心する。予定が変更になって大変なこともあるだろうし、アクションシーンの多いドラマなので体調に気をつけてほしいのはもちろんだが、妊娠してもこういうふうに仕事を続けられるのはいいし、ドラマの展開としてもうまく生かして別の人物が注目を集めるチャンスにもなって、作る側の腕の見せ所でもあると思う。
最近の別のシリーズでは気に入っていた男性キャラがハイテク捜査班に駆り出されたとして登場しなくなった。俳優さんはカナダの人で、コロナ禍によりアメリカでの撮影に参加するのが難しくなったらしい。どうもそのまま降板になってしまうようでさびしい。次のシーズンくらいで、いやー、捜査が長引いちゃって、と帰ってきてくれないかなあ。=朝日新聞2022年12月14日掲載